2011年に創業した株式会社ナイトレイは、SNSユーザーのロケーションデータの情報を軸に、行動解析データの提供やコンサルティングに取り組んできました。2015年からは、解析対象を訪日外国人に特化した「inboundinsight(インバウンドインサイト)事業」をスタートさせ、インバウント市場に注力するさまざまな企業から注目を集めています。5,000件を上回る実績をもつ同社の代表取締役である石川豊氏に、ロケーションデータ解析の必要性や特性、「inboundinsight」のようなツールをインバウンドマーケティングにどのように生かすべきか、話を聞きました。オリンピック以降も伸び続けるであろうインバウンド市場。好機を逃すな―― まず、ロケーションデータ解析とはどのようなものか教えてください。ロケーションデータ解析とは、スマートフォンやIoT時代ならではのタイムリーで膨大な場所に関するビッグデータを解析しながら、そこからマーケティングに必要な情報を抽出・提供することです。たとえば、東京モーターショーというイベントを例にとると、モーターショーの来場者はどこから来ているのか、イベントが終わったらどこでご飯を食べて、どのようにして帰っていくのか。交通系ICカードのログだけではわからないようなタイムリーな行動情報を導き出しています。イベント来場者の興味関心や、会場の周りの人気施設ランキングなど、感情にまつわる情報までタイムリーに解析できるのです。私たちはそのロジックと独自技術を活かし、訪日外国人の行動解析に特化した、「inbountinsight」というサービスを提供しています。―― マーケターはいま、インバウンド事業に注力すべきなのでしょうか?インバウンド需要は、東京オリンピックが開催される2020年以降も伸び続けて行くと見込まれています。かつての開催都市である北京、ロンドン、リオデジャネイロのインバウンド市場も伸び続けています。国の政策としても2020年以降も上昇曲線の青写真を描いていて、このインバウンド対策で、予算をかけながら注力をしてアクションしていた地方都市の結果が、今、少しずつ出始めています。具体的には、新幹線が通って交通が便利になった金沢、映画『君の名は』で注目された高山が伸びているように感じます。東京、京都、大阪は、何も施策をしなくても観光客が訪れる人気エリアです。福岡、広島、仙台、札幌などを筆頭に国内各地の地方都市にどれだけ観光客が訪れるサポートができるのか、インバウンドこそ、マーケターが注力すべき領域と言っていいでしょう。企業や自治体が、正しい情報を元に事業戦略を立てられるようサポート―― ナイトレイが提供する「inboundinsight」は、どんなサービスですか?どの国籍の人がどのような嗜好を持って、日本のどこに滞在し、どのような消費や行動をし、どのようなルートをたどるのか、を様々なデータを用いて解析し提供しています。主力のSNS解析プランでは、訪日外国人のSNS投稿内容を収集し、独自のロジックを用いて訪問場所や国籍を解析しています。テキストマイニングされた「大好き」「おいしい」「キレイ」という情報に「場所」という解釈が一つ加わるだけで、それ自体では意味を持たないデータが、旅行者のたどったルートを重ね合わせることで、なぜその地に行ったのか、その地域にどんな魅力があるのか、立体的な情報として浮かび上がってくるのです。また、SNS解析データだけでなく、ナビタイムが保有する移動実績データや、NTTドコモが保有するモバイル空間統計など、外部データとも連携したサービス提供を実現しています。タイムリーに消費行動やトレンドを把握するための「SNS解析プラン」、旅行周遊ルートを提供する「周遊データプラン」、地域ごとの消費額を解析する「訪日消費データプラン」のほか、地域別の滞在人数を提供する「統計データプラン」や「将来予測データプラン」などがあります。―― アクセスするのは、どんなSNSですか? Facebookや中国のWechatも対象になるのですか?Facebook、LINE、Wechatは解析対象にしていません。そもそも規約で解析できないようになっていますし、ユーザーも友だち公開のみで投稿するなど、クローズドの投稿は世の中にたくさんあります。しかしTwitterなど、誰でも見られるパブリックなSNSも数多くあります。個々のSNSの利用規約やAPI規約に準拠したなかで、当社ではそのような公となっているSNS投稿を解析、解釈したのち、企業や地方自治体、旅行者や生活者をサポートするために、可視化されたわかりやすいデータとツールを提供しているのです。無料プラン画面イメージ―― どれくらいの事業規模、予算感が「inboundinsight」を導入するのに向いていますか?民間企業の場合、ある程度のエリア展開やビジネスの規模がある顧客が多いです。小売やホテルなど店舗であれば他店舗展開している企業が多いですが、訪日外国人向けメディアやソリューション提供企業も導入メリットは高いと思います。予算は50~100万円はご用意いただいています。行政や公共機関の場合は、小さい市や町でも国の地域活性化の補助金などもあり、数千万円レベルの予算を確保しているので、自治体の規模に限らず実施しやすいでしょう。―― 納期はどれくらいの期間でしょうか?期間はどういうサポートをするかによりますが、だいたい3パターンに分かれます。1つ目は、マーケティング・リテラシーの高い企業さんで、既に独自でデータを集められていて、予算をかけても他社のサジェスチョンが欲しい場合は、「inboundinsight」のツールをご紹介するだけですので、すぐにでもご提供できます。2つ目は、ツールではなく、解析データやレポートをお求めの場合です。データは1~2週間、レポートは2~3週間いただいています。3つ目はインバウンド対策をやりたくてもデータ活用イメージが湧かないお客様の場合です。本格的なコンサルティング業務はナイトレイの守備範囲ではありませんが、企業さんと何をすれば結果が出せるのか、仮説を作り、戦略検討まで一緒に行うこともあります。その際は企業さんの状況に沿った期間になります。マーケターは伸びる業種、地域に限らず、高い精度で現状を把握するべき―― どのような企業が、ロケーションデータ解析を活用しやすいのでしょうか?一つは、ホテル業界や全国展開している小売店、小売店に卸すメーカー、鉄道会社、旅行向けのWEBメディアなど、直接外国人旅行者と接している業種の方。もう一つは広告代理店や店舗向けシステムなどインバウンド対策ソリューションの提供企業です。「inboundinsight」についてお問い合わせくださるのは、中長期で戦略を立てている経営企画の方やマーケティング、リサーチの担当者がメインです。全国展開するコンビニエンスストアチェーンのお客様を例に挙げると、重点的にインバウンド対策すべき店舗の検討材料としてご活用いただきました。コンビニエンスストアの店内は基本的に、日本人客用の店舗設計、商品配置をしており、外国人対応の人員配置などはされていません。いざ企業内でインバウンド対策をするとなると、どの地域のどの店舗に予算を投下し、多言語メニューなどのソリューションに力を入れるのか。その戦略の見極めに「inboundinsight」が使われています。―― マーケターはロケーションデータ情報を活用したインバウンドマーケティングにどんな課題感を持って取り組むべきですか?業態、地域、企業に限らず、どれだけ精度高く現状を把握しているかがカギだと思います。自分たちで考えられる力があり、データも集めようと実際にアクションを取られているマーケターさんだと、仕事がしやすいですね。インバウンド対策は、オリンピックを見据え、国や産業界としても注力している領域ですので、担当者が外部の知見をスピード優先でどんどん取り入れるモチベーションを持っているべきでしょう。
インタビュー
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https://www.shanon.co.jp/blog/entry/nightley-interview/
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2016年6月に正式ローンチしてから、1年半が経つ「LINEAdsPlatform」。広告業界でも短期間にこれだけ急成長した単一の広告配信プロダクトは記憶に無く、マーケターとしても無視できない存在になっています。「LINEAdsPlatform」はどんなサービスで、どんなことができるのかLINEAdsPlatformセールス・コンサルティング室室長の池端由基氏にお話を伺いしました。高い効果を発揮するインフィード広告を、新たな顧客層に届けるーー 「LINEAdsPlatform」とはどんなことが出来るサービスですか。「LINEAdsPlatform」は、「LINE」と「LINE」関連サービスへ運用型広告を配信できるアドネットワークのことです。「LINE」のタイムラインと「LINEニュース」への広告表示からはじまり、、最近では「LINEマンガ」や「LINEBLOG」にも広告が配信されるようになり、サービスを拡大しています。LINEでは個人情報を保有していないため「LINEAdsPlatform」でのターゲティングは「LINE」内での⾏動履歴を元に分類した”みなし属性”(※1)となります。具体的にはスタンプ購⼊履歴、「LINE公式アカウント」や「LINE@」の友だち登録履歴などの情報から推定しています。ーー なぜインフィード広告を主軸とするアドネットワーク事業に取り組むのですか?これまで、インターネット広告によるアプローチは東名阪や首都圏住まいの方や、ビジネスパーソンなどに片寄っていました。それ以外のユーザーへのアプローチはテレビや新聞やチラシなどに頼らざるを得ませんでした。特にインフィード広告については、本来高い効果を発揮する枠であるのにも関わらず、インターネットメディアに触れる機会のある層にしか届けられなかったのが事実です。カバー仕切れていない範囲が広いぶん、顧客にアプローチする機会を損失していたのです。「LINE」の場合は友人・家族間のコミュニケーションツールとして広くご利用いただいており、その中にはこれまで接触することが出来なかった新しい顧客層が含まれています。実際、広告掲載後にクライアントのHPを訪れたユーザーのうち、新規閲覧ユーザー数が全体の80%を超えていたとというケースも多いです。ーー これまでアプローチできなかった層とは、具体的にはどのような方々でしょうか。地方にお住まいの若年層や、比較的インターネットリテラシーが低めの方々です。「LINEAdsPlatform」の場合、「LINE」には7100万人以上の月間アクティブユーザーがいて、そのうち84%は毎日アクセスしてくれています。これだけのユーザーを保有するプラットフォームは他にありません。その数にアクセスできるということが従来のアドネットワークと比べて明らかに違う点ではないでしょうか。ユーザー基盤を活かしてリーチを最大化するーー 今後アドネットワークを活用するなら、どのような情報を軸にターゲティングしていくべきでしょうか?個人的な考えも含まれてしまうかもしれませんが、直近にどのような行動をしたかが重要になってくると思います。3年前にサービス利用登録をした場合の初期のファーストパーティー情報よりも、みなしの累計・推測をしてターゲティングをしていくことの方が価値が高いのではないでしょうか。LINEは住所、年齢、趣味趣向、学歴などのファーストパーティー情報をユーザーに求めていないので、個人情報を持っていません。一方で、ユーザーがプラットフォームの中で「その日」や「1週間前」、「1ヶ月前」にどのような公式アカウントをフォローしてどんなスタンプを買っているかなど、の情報を有しています。リアルな関心事を把握できているのです。ターゲティングの精度もこの1年半で改善されています。場合によっては、一般的なID情報のターゲティングよりも、我々の方が精度が高いものが出てくるケースもあります。。ただ、まだ100%ではないので、常に勉強してチューニングして改善していき、足りないところは外部の会社とパートナーシップを組む、というのをやり続ける必要はあります。ーー 「LINEAdsPlatform」でも、他のSNS同様類似オーディエンスを割り出せるのですか?「LOOKALIKE」という類似拡張配信をする仕組みを取り入れています。これは、志向や行動履歴が似ている人に向けて広告を出せるもので、いろんなプラットフォームに活用できます。これはユーザー規模が大きくてアクティブ率が高いからこそできることで、他社と比較しても差別化しやすいポイントですね。ーー ターゲティングの方法はみなしの累計・推測の方法だけなのですか?もちろん、アクセス時に取れるようなOS情報などのファクト情報に関しては確実な情報として保有をしているので、100%推測というわけでは無いです。他にも年齢は5歳刻みの年齢であればわかっていますし、性別、居住地などのオーディエンス情報には自信があります。ただ、「好きな映画」などの細かな趣向になるとまだまだ改善していく余地はありますね。ーー 広告掲載可否基準のNG業種・商材は一見すると広告出稿をよく見かける業種のように思えますがその意図を教えてください。審査基準を下げれば簡単に売上は作れます。しかし、「LINE」の本来的な使い方であり一番の価値は「身近な人との会話やコミュニケーションを作る」というところです。我々のミッションである「CLOSINGTHEDISTANCE」で一番大事なのは「人に近づける」ということなんです。ユーザーを保ち続けるということを大切にしながら、ユーザーが購入などのアクションをしようと思えるような土台や風潮、世界観のようなものが作られた上で、広告を「LINE」というプラットフォームの中で少しずつ丁寧に開放していくべきだと思ってるんですね。在るべき論を言えば、10人中1人が「なんかイヤ」とか「なんか損したな」と思うことがあるのであれば、僕らはユーザーの気持ちを守るというスタンスを持ちながらビジネスの拡大を考えるべきだと思っています。広告の可否に関しては非常に慎重にやっていますし、広告内の表現ひとつとっても「言っていい表現」「言っちゃいけない表現」はもちろんのこと「法律で決まっている表現」などを広告出稿をした企業のせいにせず、しっかり守りましょうということを考えながらやっています。少しずつ緩和もしているんですよ。スタートして3ヶ月後ぐらいにユーザーが広告に反応して買ってくれているという結果をもとに、サプリメントや健康食品もOKにしてみました。ユーザーの反応を見て、企業様とも相談しながら段階を追って開放しています。検討期間の短い商材を中心に効果を発揮。今後はブランド広告に注力。ーー 「LINEAdsPlatform」の活用事例について教えてください。広告を出稿される業種はコスメ:16%、ゲーム:15%、金融系:10%、健康食品:10%、キャリアビジネス:10%弱など幅広くなってきています。コスメジャンルを例にあげると、インタレストにはこだわらず「20代から40代までの女性」であれば「とりあえずそのセグメントで配信をしてみましょう」とするんです。もちろん最低限の年齢や性別は考慮しますが。CPC課金モデルの場合クリックされなければお金は発生しませんので「20代から40代までの女性」に広く広告出してもクリックされなければ無駄なお金にってしまいます。けれど、その中にクリックしてコンバージョンするユーザーが出てきますよね。そこで、先ほどお伝えした「LOOKALIKE」でコンバージョンしたユーザーに似ている人だけに配信をします。「LINE」の膨大なユーザーの中から、その企業広告に反応してくれたユーザーと似ているユーザーを見つけて再配信やリターゲティングできるのはコスメジャンルで非常にうまく活用されたケースですね。ゲームジャンルも特徴的です。発売前に事前登録させることが増えている市場ですので、例えばローンチ前の事前登録期間には「FirstView」や「リーチ&フリークエンシー」でリーチを取れる商品を絡めて告知をします。ローンチ後のインストール時にはTVCMやゲームクリエイティブを使って、事前登録期間に反応したユーザーにリターゲティングしたり「LOOKALIKE」を利用してインストールを訴求したり、その後は「LINE」のメッセージで告知を送るという流れが、うまくいってるケースとして代表的には言われていますね。ーー 例えばコスメジャンルの場合、どれぐらいの期間でPDCAを回しているのですか。コスメジャンルではユーザーの検討期間が短いと思うのでだいたい2週間から1ヶ月ぐらいのスパンを見て、どういうモデルが一番合うのかっていうのを検討していただいてます。ただ、開始から1ヶ月までの間での変更はものすごく多いんですよ。反応の良かったクリエイティブを比較検討し、週に10本以上クリエイティブを変えていたり、ABテストみたいなことをしながらPDCAを回しています。「LINE」のプラットフォームのアクティブ率が高いがゆえに、他のプラットフォームに比べてPDCAを回す頻度は高い方かもしれないです。ーー その場合、だいたいどれぐらいの出稿額でやられる企業様が多いですか?平均的には100万から200万円ぐらいだと思います。ただ多い時には月で数千万円後半の場合もありますし、月額数十万円単位というところもあるので、一概に言うのが難しいです。ーー どういったKPIを設定する企業が多いのですか?コスメジャンルに関しては完全にCPAですね。場合によっては定期購入に移行したユーザーがどれぐらいいたかを見られることも多いんですけど、今時点で我々がサポートできるところは、まずはいかに最初の購入をしていただくかです。ほとんどの場合目標は達成していて、できていない場合でも100%に近いものがほとんどです。ゲームジャンルのKPIはインストール単価(CPI)です。最近では500万人にインストールさせることよりも、毎月1万円使っているユーザーを1万人にしたほうがいいというリエンゲージメント、リテンションマーケティングと言われる発想もあって、ゲームマーケッターは少しずつそういう考え方に移行していますね。ーー 「LINEAdsPlatform」を導入しても、成功しづらい商材はありますか?逆にKPIを達成できなかった商材は検討期間の長い商材です。高単価な商材というのは我々のプラットフォームとしてはもう少し努力が必要で、例えば旅行や不動産、自動車の購入など。一方可能性を感じてるのはクレジットカード。「ゴールドカードの訴求で年会費○万円です」でもCPAは100%以上になることがあるんですよ。数万円の単価を払うユーザーが「LINE」の中にも多数いるという事実がわかったので、コミュニケーションのスタイルを変えることで改善させられる領域ではありそうなんですね。このあたりも我々のプロダクトも来年度に向けてアップロードしていこうと考えております。ーー 今後の「LINEAdsPlatform」の展望を教えてください。今、注力しているのはブランド広告です。従来はテレビCMなどが出稿媒体の中心でしたが、最近では「LINEはすごく使ってるけどTVは観ないよ」っていう人たちが一定数出てきているという事実も感じています。もっと効率よくブランド認知や好意度を上げたりできる広告プラットフォームとしても「LINEAdsPlatform」が使われるような世界を作りたいと思っているんです。今、ブランド広告主向けに「FirstView」と「リーチ&フリークエンシー」という商品を出しています。簡単に説明するとどちらも「ターゲットに対して最大のリーチをしましょう」というものです。例えば30代女性に3~4日間で数百万人にリーチしたいといっても、短期間にそれほどの数のアクティブなユーザーを保有しているプラットフォームはなかなかありません。これらもユーザー基盤の大きさを活かしてリーチを最大化できますので、他社との差別化がしやすい広告商品だと思います。大前提としては、「LINE」がツールとして皆様に使ってもらえるようになったように、マーケティング広告プラットフォームとして広告を必要としているみなさんに当たり前のように使って頂けるようなプラットフォームにしたいと考えています。出稿費用もさまざまですし、全国の大中小どんな業種どんな業態の方にも「LINEAdsPlatform」を使って新しいお客さんとの接点を作っていただけるように広げていきたいと考えています。ーーーーーーー年明けには大阪にもオフィスを構えて展開していく「LINEAdsPlatform」は幅広いエリアや地方企業にも使っていただきたい意志の表れだと語る池端氏。地域や価格での広告への垣根が取り払われていき、高い広告費を用意しなくても影響力のあるプラットフォームが存在することはユーザーにとってもマーケターにとってもメリットを与えてくれるのは間違いありません。どの媒体にどのように広告を出稿しようか、どう新規ユーザーにリーチさせようかを日々悩んでいるマーケターの方は「LINEAdsPlatform」の利用を検討みてはいかがでしょうか。※1:*「LINE」上で使用したスタンプ、利用しているアプリ、興味のあるコンテンツのほか、どのような公式アカウントやLINE@アカウントをフォローしているかといった傾向をもとに分析(電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク等の機微情報は含みません)したもの。属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っておりません。また特定の個人を識別可能な情報の第三者(広告主等)の提供は実施いたしておりません。※「LINEAdsPlatform」について:
https://www.shanon.co.jp/blog/entry/interview_line_ads_platform/ -
人工知能AIというキーワードを耳にしない昨今、Webマーケティングの領域でもAIを活用する動きが活発になってきました。しかしAIがバズワードになってしまい、「とりあえずAI」といった風潮も。AIに対しての正しい理解がマーケターには求められます。そんな中、「ディープラーニングによってAIにできることが多岐に渡るようになった」そう語るのは、人工知能開発およびAIによるマーケティングコンサル事業等を展開するデータアーティスト株式会社代表の山本覚氏。今回は山本氏に、ディープラーニングによって何が実現可能になるのか、また今後マーケターはAIとどう向き合うべきなのか、お話を伺いました。AIによって、ターゲティング予測精度は人力予測の6倍以上になる―― まずはじめに、ディープラーニングとは一体なにかというのを教えてください。「ディープラーニング」は生データさえ与えれば、勝手に学習してくれるAI。マーケターの方にとっても、今後はキーワードになってくる技術の1つです。ディープラーニングによって何ができるかと言うと、たとえば猫の画像を与えたときに、機械学習だと「これが猫の耳」「これが猫のひげ」といった情報を人間が与える必要がありましたが、ディープラーニングは画像から勝手に特徴をつかみ取り、「こういった特徴を持ったのが猫である」というのを導き出せるんです。―― ディープラーニングの技術を使って、ビジネスではどういったことが可能になるのでしょうか。マーケティング、広告のコンバージョンに近いポイントで言えば、ターゲティングの予測精度向上に役立てることができます。従来の「この商品を買っている人は、この商品も買ってます」といったレコメンドですと、購入ベースでの予測、また人間が考えうる行動パターンからの予測でした。しかしディープラーニングを活用することで、購買ベースの情報だけでなく、広告接点、Webページの接点などにおいて取得した情報から幅広い行動履歴からの予測が可能になります。そのため、たとえば「ダイエット商材」を販売している場合、実は「ハネムーン」よりも「温泉」について調べている人に対してターゲティング広告を打つのが効果的である、というのがディープラーニングでは分かったりします。このように、人間では扱いきれない情報量をディープラーニングでは処理できるため、ターゲティングの予測精度を遥かに向上させることができます。しかし、事前にどのような情報をAIに学習させるかがポイントになってきます。とある案件では、あらかじめAIにライブラリを大量に学習させることで、「人力でのセグメント」「機械学習」「ディープラーニング」「事前学習ディープラーニング」での予測精度を比較したときに、それぞれ4.7、13.2、20、29.6という結果ができました。事前学習とディープラーニングを組み合わせることによって、人力また機械学習の予測精度よりも倍以上の差が生まれるのです。―― 実際に企業はいますぐにでもディープラーニングをビジネスに応用できるものなのでしょうか。現時点では、ディープラーニングは何でも使える魔法の箱ではない、という認識を持つことが重要です。ディープラーニングもインテグレーション市場があるため、提案を受けるマーケターも多いでしょう。しかしディープラーニングはいかに事前学習させるためのデータを保有しているかが重要であるため、自社の情報だけで満足できる予測精度は得られにくいのが現状です。20年後はまた事情が変わっているでしょうが、向こう5年以内でいえば、「ディープラーニングにつっこめば大丈夫です」といったベンダーは気をつけたほうがいいですね。技術は日進月歩で進歩していますから、しっかりと最新の論文を読んでいるベンダー、またディープラーニングは前処理が最も重要であることを伝えてくれるベンダーとお付き合いすることが大切です。AIにできるのは「最適化」。人間に求められるのは「企画力」である―― 昨今のディープラーニングにおいて、注目すべきトピックはありますか?最近は、“生成モデル”と呼ばれる領域が非常に注目を集めています。データの特徴を掴み、予測だけでなく、様々なデータを生成することが可能になっているんですね。すでにCVRの高いバナーやテキストの作成はもうAIによって実現可能です。そのため、そういった「最適化」の作業は将来的にAIによって奪われていくと思っています。そして、すでに某企業でも実施しているのですが、数百万の商品に対して各商品の特徴をつかみ、商品の紹介テキストをAIがつくる、といった取り組みがされています。人力で数百万商品のテキストを書くのは莫大なコストがかかってしまいますから、AIによって単純にコスト削減が可能になりますし、フィードバックによってどんどんCVRの高いテキストへと最適化されていきます。またバナー素材を複数用意してA/Bテストをされている企業も多いと思いますが、“生成モデル”はそもそものバナー素材自体を作成し、フィードバックからより最適なバナー素材を作成するということが可能です。そのため、将来的には広告バナーを作成するような仕事は、AIに代わってしまう可能性は大いにあります。さらに広告配信の最適化、さらには配信設定自体もディープラーニングによって自動化が実現できます。―― マーケターは今後、AIとどう向き合っていけばよいと思われますか。オペレーション業務が中心のデジタルマーケターは、AIによって働き方に影響を受けやすいと思います。しかし、現時点でAIにできるのは「最適化」、そのためテレビCMで犬を起用する、といった予想もできないアイデアを出すというのはまだAIにできません。そのため、AIが導き出したデータを読み取って「そのアイデア、ありそうでなかった」といった企画ができる人は生き残っていくでしょう。弊社でもAIが分析した膨大なデータを可視化する『匠』というサービスがあるのですが、星空を眺めていたら星座が浮かび上がるように、データから特徴を掴み、企画へと落とし込むというのが、今後マーケターにとっては重要なのではないでしょうか。マーケター必見!山本さんのオススメ書籍はこちら小さな会社でも実践できる!AI×ビッグデータマーケティング山本覚(マイナビ出版)マーケティングという意味では『コトラーのマーケティング入門』は、いつまでも古くならない本質が詰まっており、何度何度も読み直すくらいおすすめです。ただその書籍の中では、AIの活用方法というところまでは触れられていなかったので、コトラーの言っていることをAIで実現するなら?を裏テーマで書いた『AIxビッグデータマーケティング』を自著で恐縮ですが紹介させていただきます。(山本覚氏)
https://www.shanon.co.jp/blog/entry/interview-data-artist/