今回はマーケティングの戦略について取り上げます。マーケティングの現場では、有効な「戦略を立てる」ことが重要ですが、そもそも「戦略」とはどんなものかについて、意外と認識されていないことも多いようです。「戦略」「戦術」の意味、そして、戦略の英訳である「Strategy」と「Mission」「Vision」の位置づけをあらためて理解することで、マーケティングにおける戦略の立て方が明確になります。記事の後半では、マーケティング戦略の事例もご紹介します。目次マーケティングにおける戦略と、ミッション・ビジョン・バリューの位置づけ日本語における「戦略」と「戦術」のちがい「戦略」の英訳「Strategy」は、Mission、Visionと同時に語られることが多い「戦略がなぜ重要なのか?」を企業事例で学ぶ「龍角散」の事業立て直し事例マーケティング戦略の全体像とは? 基本から理解しよう企業におけるマーケティング戦略の位置づけマーケティング戦略の基本は、「R-STP-MM-I-C」マーケティングの戦略は何によって決まるか戦略が失敗したときは、早期撤退と原因分析が復活のカギマーケティング戦略の成功事例マーケティング戦略が成功した企業の事例餃子の雪松ラウンドワンの全米展開状況に応じて戦略は変化する。シャノンの戦略の変遷まとめマーケティングにおける戦略と、ミッション・ビジョン・バリューの位置づけマーケティングに欠かせない「戦略」とは何か、戦略はマーケティングの中でどう位置づけられるのかについて述べていきます。日本語における「戦略」と「戦術」のちがい「戦略」とはどんな意味でしょうか。また、戦略と戦術のちがいは何でしょうか。いくつかの辞典を参照してみると、だいたい以下のような意味が記されています。戦略:目的を達成するための、大局的・総合的・長期的な計画・方針戦術:戦略に基づいて実施される個々の手段、方策日本語の「戦略」には、ブレてはいけない全体の方向性といった意味があり、戦術や行動などを決める上位概念とされています。マーケティングの場合なら、「戦略」にあたる全体の方針を定めたら、それに従って「戦術」にあたる行動計画や施策を決めていくという位置づけです。「戦略」の英訳「Strategy」は、Mission、Visionと同時に語られることが多い戦略は英語ではStrategy(ストラテジー)です。戦術はTactics(タクティクス)で、ストラテジーとタクティクスの関係性は日本語とほぼ同様です。経営やマーケティングを考えるとき、英語圏ではStrategyやTacticsとともに「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」という概念もよく出てくるので、合わせて覚えておきましょう。Mission:企業の存在理由、社会で実現したいことVision:企業が目指す未来の姿Value:企業が大切にする価値や行動指針企業は第一にミッション、ビジョン、バリューを明確にすべきと提唱したのは経営学者のドラッカーです。マーケティング学者コトラーも著書「マーケティング3.0」などでミッション、ビジョン、バリューの重要性を述べています。ミッションをわかりやすく文章化し明示したものを「ミッションステートメント」といいます。ミッション、ビジョン、バリューと戦略、戦術の関係性は以下の通りです。マーケティングにおいて参考にされることの多いコトラーの著書にも「経営戦略」「マーケティング戦略」といった言葉がよく出てきますが、そこで述べられる「戦略」には、その上位概念としてミッション、ビジョン、バリューが想定されている場合が多いです。「戦略」という言葉はビジネスにおいて幅広く用いられていて、時と場合により違った意味合いで使われています。しかし、従来日本語で論じられていた「戦略」はかなり上位の概念として用いられることが多いのに対して、英語圏の「戦略」はその上位にあるビジョンやミッションによって方向づけられた、実践的な方法として論じられる傾向があるようです。そして日本でも、現在マーケティングにおいて語られる「戦略」は、多くの場合、後者の意味です。「戦略がなぜ重要なのか?」を企業事例で学ぶ企業活動ではモノやサービスを売って利益を上げます。しかし、「戦略」がないままモノやサービスを売り続けてもうまくいきません。以下は「戦略」の重要性がよくわかる企業事例です。「龍角散」の事業立て直し事例のどの薬で有名な「龍角散」は、創業1871年(明治4年)の老舗企業です。1995年頃、老舗ブランドがあっても売上は減少し続け、同社は経営危機に陥っていました。「龍角散ブランドはもう古い」という意見もあるなか、新社長のもとで、以下のような企業戦略を定めました。信頼されてきた「龍角散」ブランドを強化する選択と集中を進めるこの方針のもとで、当時龍角散に次ぐブランドだった「クララ」という商品を廃止。一方、龍角散ブランドでは水なしで飲める「ダイレクトスティック」「のど飴」などのリニューアル商品をヒットさせました。その後、介護の現場の声などから生まれた新事業の「服薬ゼリー」が成功し、売上は1995年の40億円から204億円(2019年実績)まで成長しています。このように短くまとめると単純な成功物語になりますが、途中には多くの難しい判断がありました。とくに、一定の売上と利益があった既存商品を廃止する決断は、確固たる戦略がなければできません。「何を売るか」だけでなく、「何を売らないか」を決めるのも戦略です。この事例で登場した「選択と集中」は経営戦略のひとつで、自社の得意分野に経営資源を集中させることにより、競争力を高める方法です。選択と集中が常に正しいというわけではなく、「選択と集中」の対義語である「経営の多角化」が戦略として採用される場合もあります。※参考URL:倒産の危機から、売上高2倍の龍角散「龍角散」が脅威のV字回復。改革を分析マーケティング戦略の全体像とは? 基本から理解しようマーケティングの戦略の立て方には「R-STP-MM-I-C」という基本の型があります。単に「モノやサービスが売れる方法を考える」だけではない、経営戦略まで含めた枠組みを理解しましょう。企業におけるマーケティング戦略の位置づけ今まで述べてきたように、ビジネスにおける戦略とは企業の行動を決める基になる指針です。そして戦略のなかにも位置づけがあります。全体を「経営戦略」として、それを以下のように3段階で分類します。経営戦略の3段階企業戦略・ミッション、ビジョン、バリューの策定と実施・経営資源配分の方針決定事業戦略・事業内容の設定機能別戦略・財務戦略・マーケティング戦略 マーケティング戦略は、企業戦略、事業戦略をふまえ、機能別戦略のひとつとして実施されます。マーケティング戦略の基本は、「R-STP-MM-I-C」コトラーがマーケティングの全体像として示しているのが「Reserch」「STP(Segmentation、Targeting、Positioning)」「MarketingMix」「Inplementation」「Control」の枠組みです。R Reserch(調査)市場調査、競合他社の分析、環境分析などを行います。STP Segmentation、Targeting、Positioningセグメンテーション:市場や顧客を分類して「セグメント」を明らかにします。ターゲティング:どのセグメントに対して商品を提供するかを決めます。ポジショニング:競合他社との比較した差別化ポイントを明確化します。MM MarketingMixマーケティングミックスとは、売り手の視点からの4P(Product、Price、Place、Promotion)、顧客の視点からの4C(CustomerValue,Cost、Convenience,、Communication)を分析・決定することです。I Implememtation商品化を実行します。C Control販売した結果を計測・分析し、その後の販売活動へ反映させます。※個々のフレームワークについては以下の記事でくわしく解説しています。マーケティングの4P・4Cとは? MAの前段階にある原則をあらためてチェック「STP」「AIDMA」など、知っておきたいマーケティング分析手法や考え方を一挙に紹介マーケティングの戦略は何によって決まるか企業が存続・成長するためには戦略が必要です。しかし、「どんな戦略をとれば成功するのか」の正しい答えがあらかじめ明確になっているわけではなく、経営者は常に難しい選択を迫られます。必ず成功する戦略というのは存在しませんが、調査や分析などの科学的手法によりできるだけ勝ち筋が見えるのある戦略を定めます。マーケティングの戦略は、外部環境・内部環境の各要素で決まります。外部環境(社会全体の動向など)自社でコントロールすることができない社会情勢がビジネスを左右しますが、これを外部環境といいます。たとえば今ならコロナ禍による制約、SDGsに代表される環境対応の必要性などがあてはまります。参入する市場の環境も重要です。需要が高いが多くの企業が参入しているマーケットを「レッドオーシャン」、需要・供給とも少ないマーケットを「ブルーオーシャン」と呼びます。差別化できる商品力でレッドオーシャンに参入する、あるいは、潜在的なニーズをとらえてブルーオーシャンに進出する、などの戦略が考えられます。分析手法の例としてPEST分析(Politics、Economy、Society、Technology)があります。内部環境(自社の強み・弱み、商品力など)自社の状況を認識することも重要で、これを内部環境といいます。技術・人材・資金などの要素のうち、どこに強み・弱みがあるのかを分析したうえで、自社の強みを活かし、弱みを補強する必要があります。現在自社が提供している商品/サービスの市場シェアや認知度(マインド・シェア)によっても戦略は変わります。業界1位・2位であれば積極的なシェアの拡大、シェアが小さければターゲットを絞り込んで差別化をはかるなどの戦略をとります。分析手法の例としてVRIO分析(Value、Rarity、Imitability、Organization)やバリューチェーン分析があります。他に内部環境と外部環境を同時に分析する3C分析、SWOT分析なども使用されます。マーケティング戦略を具体化するためのマーケティングの手法については、以下の記事を参照してください。※「STP」「AIDMA」など、知っておきたいマーケティング分析手法や考え方を一挙に紹介多くの要素をできるだけ正確に分析し、経営者は最善の戦略を決定します。しかしそれでも、社内事情や市場の変化など、計画当初は想定されていない事態により戦略が失敗する場合があります。しかし、「失敗の経験をどう次へ活かすか」も重要です。戦略が失敗したときは、早期撤退と原因分析が復活のカギ戦略をもとに実行した結果、うまくいかないときもあります。急成長している企業では、リスクをとって多くの新規事業を展開しているので、失敗の経験も少なくありません。大切なのはその経験を次に活かすことです。まず、数値目標達成が見込めない事業については早期に撤退することが重要です。撤退までの期間が短ければ損失は少なくてすみます。見極めのためには計画段階でKPIを設定しておくことが重要です。次に、失敗した経験について、詳細に原因を分析します。当初の戦略が綿密であれば、原因分析はしやすく、何が足りなかったのか、次はどうすればよいかが明確になり、次の事業展開に活かすことができます。※参考マーケティングの成否を分ける「KPI」「KGI」の重要性とは。シャノンがKPI設定で失敗した実体験もご紹介!マーケティング戦略の成功事例マーケティング戦略が市場のニーズをとらえ、成功した事例をいくつか紹介します。マーケティング戦略が成功した企業の事例マーケティング戦略が成功した最近の事例として以下をご紹介します。餃子の雪松コロナ禍の2020年、「冷凍餃子の24時間無人店舗」が全国で拡大しました。その草分け的存在が「雪松」です。群馬県水上の中華料理店が2019年に無人販売所を出店。その後コロナ禍でテイクアウト需要が増え、店舗は全国約280店まで拡大しました。成功のポイントとして以下が挙げられます。36個入り1000円というリーズナブルで買いやすい価格設定顧客にとって便利で利用しやすい、24時間無人販売冷凍庫と料金箱のみのシンプルな店舗でコスト削減銀行ATM跡地など狭い店舗を活用顧客がリピートする満足度の高い品質「顧客が簡単に買えるようにする」という戦略が、今までにない販売スタイルを実現させ、ヒットした事例です。このほか、急速に拡大しても安定した品質で商品を供給できる生産体制の確保も成功要因だったことが推測できます。ラウンドワンの全米展開ラウンドワンは2010年にアメリカ1号店を出店し、現在は全米に40店舗以上を展開しています。通販の浸透によりリアル販売店舗が衰退し、空きができたショッピングセンターに各種ゲーム、スポーツ、レストランなどの複合施設を出店し、アメリカになかった「家族で1日遊べる場所」を提供。アメリカだけで100店舗を目指しています。「コト消費」で集客に成功ショッピングセンターの既存店不振が進出のチャンス人口が増加しているアメリカで事業を拡大ゲームなど日本のコンテンツが好評将来は他国への展開も可能海外進出の場合、「どこへ、いつ進出するか」を決めるのが戦略です。成功する要素があったとはいえ、実際には各店舗で異なるローカライズ(地域化)やコンテンツの入れ替えなどの店づくりも必要で、人材の育成や採用にも注力したものと推測ができます。状況に応じて戦略は変化する。シャノンの戦略の変遷最後にシャノンの経営戦略の一端をご紹介します。自社の成長段階と社会環境によって戦略は変化するという事例です。シャノンは2000年に創業。当初はオフラインイベントの支援ツールを提供する事業を展開していました。2011年、MAツール「シャノンマーケティングプラットフォーム」をリリース。イベント支援事業は継続していましたが、黎明期のMA市場への進出にマーケティング予算を多く投入しました。2016年、統合型マーケティング支援SaaS市場6年連続シェア1位を獲得(ITR調査)し、一定の成果が得られたといえます。マーケティング予算をMAに多く振り分けていたしていた時期でも、ありがたいことにイベント支援の依頼は多くいただいておりました。しかし、コロナ禍にイベントのオンラインでの実施が増えると、オンラインイベントを支援する競合の企業が増加し、MAだけではなくイベント支援においてもマーケティングに注力する必要が出てきました。新たな展開もあります。2020年、バーチャルイベントの子会社ジクウを設立し、「バーチャル展示会」を提供。また、2021年はCMS事業を子会社化し、顧客企業のマーケティング支援体制を強化します。このように状況に応じて戦略を変え、チャレンジを続けていくことが、すべての企業に求められています。まとめ本稿のポイントは以下の3点です。1.マーケティングにおける「戦略」は、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」と合わせて位置づけられることが多いです。2.マーケティング戦略の基本は「R-STP-MM-I-C」で、戦略は内部環境や外部環境の分析をもとに決定します。3.マーケティング戦略の成功事例からだけでなく、失敗からも学ぶことができます。
マーケティング戦略
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https://www.shanon.co.jp/blog/entry/ma_strategy/
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マーケティングの戦略や手法が複雑化・多様化すると同時に、予算配分に頭を抱える企業も少なくないでしょう。デジタル広告、Webサイト改善やPRなど、実施する施策の選択肢は多岐にわたり、すべてを実施するには多大なマーケティング予算が必要になります。適切量の予算を見極めるには、どうするべきでしょうか。今回の記事では、シャノンの事例をもとに、マーケティング部門への予算配分や適切なMRR(月次収益)、CAC(顧客獲得単価)の設定方法の要点をまとめました。目次マーケティングの予算配分でおさえておくべき6つの要点1.企業の売上目標を正しく知る2.売上モデルを知る3.過去の受注率を参考に、案件数の目標を設定4.リード獲得単価(CPL)目標を算出する広告オーガニックフォロー5.顧客1人を獲得するのに必要な、全コストを算出する6.経営陣と議論し、最終決定するマーケティングの”目的”を考えれば、正しい計算が必須マーケティングの予算配分でおさえておくべき6つの要点1.企業の売上目標を正しく知るマーケティングの予算額を決める上でもっとも大切なのは、会社の売上目標を正しく把握することです。全体目標を念頭に置かずして、効果的な予算組みをすることはできません。シャノンでは、組織の各セクションに対して目標数値が設定されています。これらの目標数値は、会社全体の売上目標から逆算して設定しています。加えて、各セクションの目標数値を営業メンバーの数で割った、一人あたりの売上目標があります。マーケティング部全体では、MRR(月次収益)とアポイント獲得数、CAC(顧客獲得単価)を追っているという状況です。シャノンのマーケティング部の場合は、売上目標に基づいた必要アポイント数を達成するために必要な人件費、広告宣伝費等を計算します。2.売上モデルを知る売上モデルとは、目標金額に対してどのような施策を立てるかを考える上で指標となる数値を導き出すための計算式です。何を何個売ればいいのか、また、何人動けばいいのか、掛け算の繰り返しによって、マーケティング部の目標が定まります。まず売上は、以下のように商品やサービスの単価とその販売数の乗算で算出されます。売上=単価×販売数複数の価格帯の商品がある場合は「売上=単価×販売数+単価×販売数……」と計算します。この記事では単一価格の単一商品を扱っているものとして説明を進めていきます。売上固定されているのだとしたら、販売数を稼がなければなりませんよね。販売数の目標は以下のように算出されます。販売数=案件数×受注率上記を踏まえると、案件数目標=販売数目標÷受注率という式が成り立ちます。3.過去の受注率を参考に、案件数の目標を設定マーケティング部にとってもっとも重要な案件数の目標は、過去実績から割り出した受注率をもとに決定されます。年次の売上目標が1億8,000万円であると仮定します。単価150万円の商品のみを扱っているとすると、目標到達に必要な販売数は120です。1億8,000万円=150万円×120 (売上=単価×販売数)過去の実績から当該年度の受注率を最小20%であると予測した場合、120の販売数を達成するのに必要な案件数は最大600件となります。120=600×20% (販売数=案件数×受注率)4.リード獲得単価(CPL)目標を算出する案件数の目標に基づいて、リード獲得単価を算出します。その前に、リードを創出する手段を検討していきます。主な例として、「広告」「オーガニック流入強化」「見込み顧客のフォロー」の3つを挙げます。広告GoogleやFacebookに掲載するリスティング広告、イベントや展示会を通じて見込み顧客を獲得するリードジェネレーションなど。オーガニックブランドにまつわるキーワード等で自然流入してくるタイプのもの。広報PRや、見方によってはWebサイトの改修費なども含まれる。フォロー見込み顧客に適切なタイミングでメールなどを送り、商談につなげるもの。リードナーチャリングがこれに該当する。各手段のリード獲得単価を推測します。例えば広告で100件のリードを獲得するとした場合、広告のクリック単価が100円で、CVR(案件化率)が10%だとすると、100件÷10%×100円=10万円かかることになります。この場合、リード獲得単価(CPL)は1,000円です。このような計算で、広告、オーガニック、フォローの案件獲得単価を推測し、アプローチできる母数の制限や、人員の制限、過去の実績等を踏まえながら、現実的に達成できる範囲で比較検討して、リード創出手段それぞれへの投下予算を決定していきます。投下予算が決定したら、全体平均の案件獲得単価を出します。5.顧客1人を獲得するのに必要な、全コストを算出する顧客獲得単価(CAC)を算出するには、広告などの案件獲得費用だけでなく人件費なども考慮した上で計算を行います。計算方法は次の通りです。CAC=(一定期間の広告・人件費)÷(一定期間の顧客獲得数)シャノンの場合は、「営業1人あたりいくらかかったか」を軸に人件費を算出しています。マーケティング活動に掛かったコストのみではなく営業部の人件費もマーケティングコストとして計算できます。さらに、人件費の計算を実際にシュミレーションします。マーケットコミュニケーション担当(マーコム)2人、インサイドセールス4人、営業部10人が稼働したとします。各一人あたり人件費を40万円とした場合、営業部1人につき、マーコムの人件費は8万円、インサイドセールスの人件費は16万円かかることになります。これまでに出した各数値を、月間/年間、営業1人あたり/営業全体で分けて、マーケティングの予算としてまとめます。図は簡略化していますが、「獲得費」の内訳は細分化するとよりわかりやすいでしょう。6.経営陣と議論し、最終決定する予算案が完成したら、経営陣とすり合わせを行います。目標設定は正しいか、受注率は甘く見積もっていないかなど各項目を検討していきます。担当者は各項目がなぜその数値になっているかを説明できるようにデータやエビデンス資料を用意しておくことが重要です。会社の売上や利益に貢献するか、または長期的な経営計画に沿った予算配分になっているかという視点を持つ経営陣と予算案をすり合わせていき、予算配分を最終決定しましょう。目標を立て、実際に施策を行う段階でも、状況に応じて目標を見直します。マーケティングの”目的”を考えれば、正しい計算が必須日頃マーケティングのことを考えていたら、いかにリードを獲得するかという思考になってしまいがちですよね。しかしマーケティングは手段にすぎず、目的ではありません。マーケティング部がするべきことは、ビジネスを成長させるためのマーケティング活動です。マーケティング部の目標や予算は、経営陣が描くビジネスゴールと密接に連動させなくてはなりません。シャノンのマーケティング部はかつて、「資料請求数」をKPIに設定していました。デジタル広告やオーガニック流入増加施策に予算を投入し、実行したところ、資料請求数が格段に伸びたのです。しかしそこで得たリード顧客の多くは、コンバージョンに至りませんでした。もちろん、会社の業績も伸びません。現在はKPIを資料請求数からCACに変更したことで、会社の売上目標や人件費からマーケティングに割くべき適切な予算を算出するという体制を作っています。デジタル広告やオーガニック施策だけではなく、アナログのイベント開催などへ予算を回したことで、会社の売上が大きく向上しました。また、一度立てた目標は追い続けるだけではなく、改善が必要です。複雑な予算管理をする上では、マーケティングオートメーションツールを使うのがおすすめです。シャノンが提供する『シャノンマーケティングプラットフォーム』では、KPI設定や予実管理が可能なゴール機能で目標の達成度合いが社内で簡単に共有できますので、ぜひ資料をダウンロードください。資料をダウンロード
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