急成長を続けるWeb広告市場。特に近年は動画広告の伸びが大きくなっています。コロナ禍でも成長を続けたWeb広告市場ですが、現在はCookie規制が2024年に迫っているということで、次のデファクト・スタンダードが模索されています。今回は、Web広告のしくみや関連用語、Web広告の種類をまず整理・確認し、最新事情や効果的な運用方法などもまとめてご紹介していきます。目次マーケティングに欠かせないWeb広告とは?特徴や関連用語も解説Web広告とは?拡大を続けるWeb広告市場Web広告のしくみと「アドネットワーク」「DSP」などの関連用語を確認Web広告のメリットとデメリットWeb広告の今までと今後Web広告の種類リスティング広告ディスプレイ広告SNS広告動画広告アフィリエイト広告記事広告メール広告Web広告の選び方と運用方法は?シャノンの事例もご紹介Web広告の選び方は?何を促すのか、広告の目的が重要Web広告の効果測定で使用する指標Web広告のクリエイティブ改善は、ABテストで最後にシャノンの広告クリエイティブ事例をご紹介!まとめマーケティングに欠かせないWeb広告とは?特徴や関連用語も解説Web広告の全体像、Web広告のしくみと関連用語について解説していきます。Web広告とは?拡大を続けるWeb広告市場Web広告とは、インターネット上で掲載・配信される広告の総称です。Web広告をインターネット広告、ネット広告、オンライン広告などということもあります。以下の図でもわかるように、Web広告市場は拡大を続けています。コロナ禍でも成長を続け、2022年には2017年から5年で市場規模が倍になる見込みです。株式会社CARTACOMMUNICATIONS、「2021年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」広告媒体にはWebのほかにテレビや新聞をはじめ、電車の中吊り、タクシーなどもあります。これらを含めた広告については以下で解説しているので参照してください。参考:現代マーケティングにおける広告戦略とは。BtoBではどう進める?Web広告のしくみと「アドネットワーク」「DSP」などの関連用語を確認ユーザーがWebサイトを閲覧するとき、あらかじめ設定された「広告枠」に広告が掲載されます。これはWebサイトの配信元であるWebサーバーとは別のアドサーバーから配信されています。アドネットワークWeb広告会社が運営するアドサーバーは複数のWebサイト、SNSなどの広告枠を管理していて、広告のターゲットや予算に合わせて媒体を選んで配信します。このような複数枠へ配信するしくみを「アドネットワーク」といいます。アドネットワークからは効果測定データを一括で受け取れるというメリットもあります。代表的なアドネットワーク事業者にGDN(GoogleDisplayNetwork)、YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)があります。アドエクスチェンジ、RTBアドネットワークが一般化すると、広告主は複数の広告枠に効率よくWeb広告を配信できるようになりました。しかし特定の広告枠に広告を出したい場合もあります。こうしたときに特定の広告枠を1インプレッション(表示回数)ごとに購入するのが「アドエクスチェンジ」です。このときの入札方法を「RTB(RealTimeBidding)」といいます。DSP、SSPさらに、媒体側が提供するアドネットワークに対応して、広告主側にとっての広告配信の最適化のためのしくみとして「DSP(DemandSidePlatform)」が生まれました。一方メディア側には「SSP(SupplySidePlatform)というシステムがあり、現在はDSPとSSPを介して配信の最適化が行われています。運用型広告と予約型広告Web広告の多くは、予算枠内でそのときどきの入札金額に合わせ、リアルタイムで広告枠を選び出して配信する「運用型広告」です。これに対して、あらかじめ広告金額と広告枠・掲載期間を決めて出稿する方法を「予約型広告」といいます。Web広告のメリットとデメリットテレビや新聞、その他の媒体と比較したときのWeb広告のメリットは以下です。少ない予算で始められるWeb広告には1クリック、1インプレッションに対して課金されるものもあり、100円単位からでも始めることが可能です。他の媒体と比べて少ない予算から始められるので、小さなECサイトなどでも工夫次第で活用できます。詳細なターゲティングが可能Web広告はユーザーの居住地域、年代、趣味嗜好などの属性を絞り込んで広告を配信することが可能です。自社のターゲットとなるユーザーのみに効率よく情報を届けられます。ターゲティングのためにIPアドレスやCookieが活用されています。CVにつながりやすい商品の広告をクリックして購入ページへ、キャンペーン広告をクリックして応募ページへ、というように、Web上ならスピーディーに行動にうつることができます。ユーザーの気持ちが動いた瞬間を逃さず、すぐにアクションを促せることもメリットです。効果測定がしやすいテレビや雑誌の広告の場合「効果が出ているとはっきりわからないが、しばらく続ける」といった出稿のスタイルもありましたが、Web広告はそれがありません。表示した広告のクリック率、さらに購入まで進んだユーザーの比率などがほぼリアルタイムで数値化され、広告の効果が詳細に測定できます。広告の配信先見直しやクリエイティブの改善などの施策もスピーディーに実施できます。Web広告の今までと今後Web広告が始まってから今までの経緯を簡単に振り返ります。パーソナルコンピュータやインターネットが普及し始めた1995年頃、Web広告は、Webサイトの広告枠を購入して広告を掲載する「純広告」という形でした。続いて、人気のあるWebサイトに表示された広告をクリックした数により広告費が発生する成果報酬型の「アフィリエイト広告」も広まりました。2000年代に入ると、各種SNSが広がり、連動型の「リスティング広告」や「リターゲティング広告」など、現在のWeb広告に近い形が確立されていきます。ユーザーが一度閲覧したページの内容と関連する広告が表示されるリターゲティング広告では、Cookieの技術が使われています。Cookieとはユーザーの行動履歴のデータで、ユーザーの興味や嗜好に合わせた広告を配信するために欠かせないしくみです。Cookieのなかでも第三者が広告配信に使用している「サードパーティークッキー」は、個人情報保護の観点から問題が指摘され、2024年までに廃止される見通しで、このため、現在Web広告業界はCookieに代わる技術の開発競争となっています。Cookie規制に関して詳しくは以下を参照してください。参考:Cookie規制の現状と、マーケティング部門がすぐやるべき5つの対策。シャノンが提案する新技術もご紹介!Web広告の種類多種多様なWeb広告の種類と特徴をまとめます。下図は電通グループの調査による最新のWeb広告構成比です。以下で順に各広告を説明するなかで述べる市場規模も同じ調査より引用しています。株式会社CARTACOMMUNICATIONS、「2021年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」リスティング広告リスティング広告とは、キーワード検索をしたときに検索結果の上部と下部にテキストで表示される広告のことです。市場規模は7,991億円、全体の37%(2021年)で、Web広告のなかで最も大きな割合を占めます。課金の方法は広告をユーザーがクリックした場合に費用が発生する「クリック課金」です。リスティング広告は自分のニーズが明確なユーザーに対して効率よくアプローチできます。一方で、潜在層を含めて幅広く情報を届けたい場合には向きません。ディスプレイ広告ディスプレイ広告とは、Webページの一部に設定された広告枠に表示される広告で「バナー広告」と呼ばれることもあります。テキストや画像のほか動画を掲載することも可能です。市場規模は6,856億円で全体の31.8%(2021年)を占めます。ディスプレイ広告は興味・関心がある・なしどちらのユーザーにも有効で、幅広く使用されます。ヤフーのTOPページのような多くの人が見る場所に掲載するディスプレイ広告は、高い告知効果があります。ディスプレイ広告の広告枠は複数をまとめて前述したアドネットワークで管理されることが多く、リターゲティングのしくみも活用されます。一方で、特定の広告枠を予約する「純広告」として出稿することも可能です。ディスプレイ広告を使った広告戦略については以下で紹介しています。参考:ディスプレイ広告で成果を上げるには?きめ細かな効果測定がポイントSNS広告SNS(ソーシャルメディア)への広告出稿も有力な手段です。SNSへの広告費は3,168億円(2021年)となっています。SNSには登録されたユーザーの属性、興味・関心などの詳細なデータが蓄積されているので、精度の高いターゲティングが可能です。SNS広告はイベント告知のような即効性を求める広告にも、商品やサービスのブランディングといった中長期戦略にも有効で、「いいね!」やフォロワーなどユーザーからのレスポンスをマーケティングに活用でき、企業と顧客の直接のコミュニケーションが生まれることもあります。さらに、Cookieが規制される今後、SNS広告の重要性は高まると考えられます。主な課金方法はインプレッション課金とクリック課金です。また、SNSの投稿記事と同じようなフォーマットで投稿記事の間に入る広告のことを「インフィード広告」といいます。facebook実名で登録しているユーザーが多く年齢層は高めで、BtoCはもちろんBtoBビジネスでも効果があるとされています。Instagram女性のユーザーがやや多く、年齢層はやや若い傾向です。写真投稿がメインなので、商品を紹介するBtoC向きといえます。「ShopNow」機能によりInstagram上で直接販売できます。Twitter幅広い年齢層・属性のユーザーが利用しているメディア。企業の認知度アップや新規顧客獲得に活用されています。LINE約8,600万人という国内で最も多いアクティブユーザー数が最大の魅力です。地方にも浸透しているのでエリアを限定した情報を届けやすいことも強みで、広告媒体として成長を続けています。SNSで広告出稿する場合、企業アカウントの運用も欠かせません。SNSを効果的に活用するマーケティングについては以下の記事で解説しています。参考:ソーシャルメディアマーケティングとは?BtoBビジネスにおけるSNSの活用方法動画広告動画広告は近年拡大しています。2021年の動画広告は前年比132.8%の5,128億円で最も成長したジャンルとなっています。動画広告は短時間に多くの情報を届けられること、視聴者にインパクトを残せることが特徴です。YouTubeの動画コンテンツ前後に挿入する「インストリーム広告」のほか、ディスプレイ広告枠などに表示される「アウトストリーム広告」があります。動画広告の種類や特徴については、以下の記事でくわしく紹介しています。参考:BtoBで費用対効果が高いと注目されるバンパー広告、その活用方法とは?動画によるマーケティングについては以下を参照してください。参考:動画マーケティングとは?会社で活用するための手法を紹介アフィリエイト広告アフィリエイト広告はWebサイトの運用者が広告を掲載します。多くの場合は成果報酬型で、広告をクリックした場合、CVに至った場合などに報酬が発生します。人気のあるメディアへの広告配信では着実な広告効果が得られます。出稿する場合、広告主はASP(AffiliateServiceProvider)に登録します。アフィリエイト広告は古くからあるWeb広告の方法ですが、今も1000億円に近い売上があります。記事広告記事広告はニュースメディアなどに掲載される広告のスタイルで、他の記事と同じフォーマットで一見広告とはわからない見せ方になっています。このように広告枠ではなく他のコンテンツ内にまぎれて表示される広告のことを総称して「ネイティブ広告」と呼びます。一般的な広告は広告主がクリエイティブを制作しますが、記事広告ではメディアが取材や制作を行うことが多く、このような記事広告を「タイアップ広告」といいます。記事広告やタイアップ広告は「PR」「広告」などの表示があることで他の記事と見分けられます。メール広告メール広告とは「メルマガ」に代表されるような、メールを使った広告です。テキストメールとHTMLメールがあり、HTMLメールでは画像も送信できます。メール広告はコストがかからず、費用対効果が高い方法です。メールアドレスがわかるユーザーであれば直接アプローチができ、イベントやバーゲンセールの案内などにも適しています。自社の登録ユーザーに配信するほか、人気があるメールマガジンに広告として情報を掲載する方法もあります。メール広告を実施するときは、誘導先であるLP(ランディングページ)のコンテンツ作成も重要です。LPやメールマーケティング、メルマガの活用方法について紹介している以下の記事も参考にしてください。参考:BtoBのメールマーケティングで成果を上げるコツは?シャノンが実践する手法もご紹介BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める?メルマガの開封率の平均はどれくらい?開封率を上げる7つの方法。BtoB向けメールのTipsもご紹介!Web広告の選び方と運用方法は?シャノンの事例もご紹介紹介してきたように、Web広告には多くの種類があります。広告で成果を上げるためには、Web広告の選び方、効果測定、広告の改善が重要です。Web広告の選び方は?何を促すのか、広告の目的が重要Web広告の出稿を検討するにあたり、知っておきたいのがそれぞれのWeb広告がもつ機能です。以下は顧客の購買行動の段階とそれに対応する広告の種類の対応例です。認知まだ商品やサービスを知らない潜在顧客に認知を促す最初の段階では、ディスプレイ広告として配信する純広告や記事広告などが効果的です。興味・関心興味や関心を引き上げる段階では、すでに認識されている商品やサービスについて理解を深めたり、自分にとっての必要性に気づいたりできるSNS広告、アフィリエイト広告、動画広告などが有効です。比較検討ニーズを認識した顧客がいくつかの商品やサービスを比較検討する段階では、キーワード検索で表示されるリスティング広告、リターゲティング広告などが適しています。購入購入行動を促すにはディスプレイ広告のリターゲティング広告が有効です。この段階ではリターゲティング広告の一種である「ダイナミック広告」も活用されます。ダイナミック広告とは、過去にECサイトで見た商品がディスプレイ広告として表示され、クリックするとすぐに購入ページに遷移するような広告です。参考:ダイナミック広告とは?マーケティングで成果を上げる運用方法Web広告の効果測定で使用する指標ネット広告では広告の結果が詳細なデータで残ります。この測定結果を分析・評価して出稿計画の調整や見直しをしていくことが重要です。評価すべき指標として、たとえば以下があります。インプレッション数(imp)広告が表示された回数のことです。広告表示回数が当初見込みより少なくなってしまう場合、ターゲット設定の見直しが必要です。インプレッション課金の場合はこの数値が広告費の基準となります。クリック数(CT、ClickThrough)広告がクリックされた回数です。クリック課金の場合はこの数値に応じて広告費がかかります。クリック率(CTR、ClickThroughRate)インプレッション数に対するクリック数の割合です。CTRが低い場合、ターゲットやクリエイティブを見直す必要があります。クリック単価(CPC、CostPerClick)クリック1回あたりの広告費です。運用型広告の場合はクリック単価が変動するので、一定期間の平均クリック単価を算出して指標とします。コンバージョン数(CV、Conversion)広告の目的となっている具体的な成果を数値化したものです。広告から流入したユーザーの「商品購入数」「会員登録数」などをCVに設定します。コンバージョン率(CVR、ConversionRate)クリック数に対するコンバージョンの割合です。CVRが低い場合、広告表示が商品について正確に伝えているか、LPの内容が適切かなどをチェックします。顧客獲得単価(CPA、CostPerAcquisitionまたはCostPerAction)商品購入や会員獲得などの成果を1件獲得するためにかかった広告費のことです。Web広告のクリエイティブ改善は、ABテストで広告のクリック率やコンバージョン率が思うように上がらないとき、広告のクリエイティブを見直す必要も出てきます。クリエイティブを改善するときには「ABテスト」が有効です。ABテストとは、AとBの2つのパターンを作成し、実際に運用してみて結果がよい方を採用する方法です。ABテストは2パターンとは限らず、3つ以上のパターンを用意してテストすることもあります。また、広告のクリエイティブだけでなく、流入先であるLPの改善にもABテストを活用します。ABテストの方法については以下を参照してください。参考:ABテストとは?やり方やツールを紹介また、シャノンのLPはどんなABテストを経てきたか?について以下の記事でご紹介しています。参考:BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める?最後にシャノンの広告クリエイティブ事例をご紹介!シャノンでも多様なWeb広告を実施していますが、その中なかからバナー広告の一例をご紹介します。以下4点はシャノンの製品資料ダウンロードページへ誘導するディスプレイ広告です。また、以下はリードナーチャリングのホワイトペーパーへ誘導する広告。ウェビナーで集客したリードのうち取りこぼしているかもしれない55%にフォーカスしています。上の広告からデータと図で詳しく解説するLPへ誘導し、そこからボタンクリックでダウンロードページに遷移します。ご覧のように、Web広告の色調、イラスト、トーンなどを統一して、イメージの浸透を図っています。まとめ本稿のポイントは以下の4点です。1.Web広告市場は拡大を続けていて、特に動画広告が伸びています。2.Web広告のメリットは以下です。・少ない予算で始められる・詳細なターゲティングが可能・CVにつながりやすい・効果測定がしやすい3.Web広告の種類として以下があります。広告の特性を理解して、目的に合わせて選ぶことが大切です。・リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告・動画広告・アフィリエイト広告・記事広告・メール広告4.広告の効果測定ではインプレッション数、クリック数、クリック率、CV数などの指標を使用します。
広告
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https://www.shanon.co.jp/blog/entry/web_ads/
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「バナー広告」は主に画像を表示させる広告で、Web広告が始まった頃からのスタイルです。そして今も、主要なWeb広告の手段として活用されています。今回は、現代のWeb広告におけるバナー広告の位置づけ、メリットとデメリット、出稿方法など、基本から解説していきます。後半ではシャノンの「効果があったバナー広告」の実例を示しながら、集客できるバナー広告制作のポイントも紹介します。目次バナー広告とは? メリット・デメリットや種類を解説バナー広告とはどんな広告かバナー広告とディスプレイ広告の違いバナー広告のメリットとデメリットバナー広告の種類と位置づけバナー広告の作成・出稿・運用コンテンツの作成バナー広告の課金方式と出稿の方法効果測定と改善MAの導入により、さらに広告戦略を強化成果が上がるバナー広告とは? シャノンの事例とポイントを紹介!まとめバナー広告とは? メリット・デメリットや種類を解説バナー広告とは何か、メリットやデメリット、ディスプレイ広告との違いなどについて解説します。バナー広告とはどんな広告かバナー広告のバナーとは「旗」の意味。旗のような長方形の画像で広告を表示することからバナー広告と呼ばれます。ネット上での広告が始まった1990年代頃、広告のコンテンツはテキストか画像のみで、「テキスト広告」「バナー広告」と呼んで区別していました。以下はシャノンのバナー広告の一例です。現代のバナー広告とは、Webページの広告枠に表示される広告で、画像のほか、テキスト、動画、アニメーションなどが掲載されることもあります。バナー広告とディスプレイ広告の違いバナー広告は、現代のWeb広告のなかではどう位置づけられるのでしょうか。以下はYahoo!Japanのトップページの広告枠です。各位置に表示される広告は、どれもバナー広告と呼ばれます。これらの場所に表示される広告は「ディスプレイ広告」とも呼ばれます。バナー広告とディスプレイ広告との違いは何でしょうか。「バナー広告」「ディスプレイ広告」という用語は、ほぼ同じ意味で使われていることが少なくありません。ネット上では「明確な違いはありません」という解説もよく見かけます。これも一般的な解釈といえます。一方、2つの用語を違うものとして使い分けている場合もあります。このとき、以下のような区別がされています。ディスプレイ広告はテキスト、画像、動画などWebページ内に表示される広告全般バナー広告は画像またはアニメーションで表示される広告で、ディスプレイ広告の一種以上のように、ディスプレイ広告とバナー広告は同じとされていることもあるし、使い分けられていることもあるのが現状です。会話や文章の流れで読み取りましょう。本記事では、バナー広告にはテキストや動画を掲載した広告も含むという定義のもとで述べていきます。バナー広告のメリットとデメリットバナー広告のメリットとして、以下が挙げられます。情報量が多いバナー広告はWebページ上の限られたスペースでの配信となりますが、画像により多くの情報を届けることができます。動画やアニメーションを追加することで、さらに訴求力を増すこともできます。認知度向上に役立つバナー広告がクリックされない場合でも、多くのユーザーの目に触れて、社名や商品名、ブランドの認知度を高めることができます。即効性があるイベントの告知、新商品の紹介など、ターゲット層にできるだけ早く、幅広く告知したいときに有効です。潜在顧客にアプローチできるニーズがあるのに気付いていない潜在顧客には、バナー広告が有効です。潜在顧客にアプローチするときは、商品名よりも「こんな困りごとありませんか?」といった切り口でユーザーの注目を集める手法がとられます。参考:潜在顧客とは?顕在顧客、見込み顧客との違いやアプローチ方法、企業事例を解説一方、バナー広告のデメリットと考えられるのは以下の点です。CVが低いこともあるバナー広告はクリックすると自社のランディングページに遷移して、集客につながります。しかし、ユーザーが広告をクリックする率は低く、簡単にCVに結びつかないことがデメリットです。制作コストがかかるバナー広告の制作にはデザイナーが必要で、一定のコストがかかります。ユーザーに注目され、クリックされるためのビジュアルを工夫することにも常に苦労があります。成果が出ないこともある広告全般にいえることですが、バナー広告でも狙い通りの成果が出せないことが少なくありません。しかしWeb広告の場合は効果測定ができるので、検証と改善を繰り返していくことが大切です。バナー広告の種類と位置づけバナー広告には運用型広告と純広告の2種類があります。運用型広告とは、予算、出稿期間、ターゲットなどを設定してGDNやYDAのようなアドネットワーク、SNSなどに依頼し、ターゲットに該当するユーザーが見たWebページ内の広告枠に表示させるWeb広告です。掲載されるメディア、広告の位置などはあらかじめ決まっていません。広告が表示されるしくみにはRTB(RealTimeBidding)が活用されています。参考:RTB(RealTimeBidding)とは?しくみやメリットを紹介純広告は、掲載されるメディア、広告枠、掲載期間が決まっていて、Webサイトを訪れたユーザーすべてに同じ広告を表示させる方法です。バナー広告はリターゲティング広告として配信されることもあります。リターゲティング広告とは、過去に特定のWebページを見たり、Web広告をクリックしたりした履歴があるユーザーが閲覧している別のWebページに、過去にアクセスした情報と同じ内容が表示される広告のことです。バナー広告の作成・出稿・運用バナー広告の具体的な運用手順とポイントを紹介します。コンテンツの作成バナー広告の制作では、まず広告の目的とターゲットを明確にして、それに合うビジュアルを制作します。シンプルかインパクト重視か、色調はダークかライトか、などの選択は企業と商品のイメージやそのときどきの告知内容によっても違ってきます。どんなクリエイティブなら効果があるかというのは、広告制作スタート時点では判断が難しいところです。多くの場合、キャッチコピーが重要です。ユーザーがWebサイトを閲覧する短い時間に目を留めるような「ちょっと気になる広告」を目指しましょう。デザインについては、Web上にいくつか公開されているバナーギャラリーサイトを参考にすることもできます。また、企業の公式Webサイトやオウンドメディアと企業ロゴやイメージカラー、トーンを統一することが、ブランディングに有効です。バナー広告の課金方式と出稿の方法バナー広告の課金方式には以下があります。クリック課金方式バナーがクリックされたときに課金されます。1クリックあたりの料金の上限を広告主側が設定します。1クリックあたり10~数百円です。成果報酬式クリックよりさらに先の、商品購入や会員登録、資料請求などの成果が発生したときに課金されます。クリック課金より単価が高くなります。たとえば商品代金の30~40%のように料金が設定されます。インプレッション課金方式広告がWebサイトに表示されたときに課金されます。1回あたりの料金は低く設定されています。1,000回表示されると100円~数百円のように料金が設定されます。期間保証方式人気のあるメディアでは一定期間の広告表示契約で料金が決められます。最初に紹介したYahoo!トップページのバナー広告などではこの方式がとられていて、料金は高額となります。バナー広告の出稿は、まず大手アドネットワークであるGDN(Googleディスプレイネットワーク)、YDA(Yahoo!広告ディスプレイ広告運用型)に依頼することが一般的です。その他にはスマートフォンアプリやSNSへの出稿という選択肢もあるので、自社に合ったプランを策定します。効果測定と改善テレビCMや雑誌広告とちがい、Web広告は効果を測定できることが大きなメリットです。バナー広告を出稿したとき、ほぼリアルタイムでその結果となるデータを取得して、その後の広告プラン改善に役立てることができます。Web広告の効果測定では、まず無料のGoogleアナリティクス(GA)を導入することが一般的です。GAにより、いつ、どの広告からWebサイトへのユーザー流入があったかのデータが得られます。参考:マーケティングに欠かせないアクセス解析。Googleアナリティクスの目的、MAとの違い・使い方は?ただし、GAはGoogleへ出稿した広告からの流入を計測しますが、Yahoo!など他のメディアからの広告は計測できません。したがって、すべての広告の効果を正確に測定するために、各広告にURLパラメータを付与することが欠かせません。参考:URLパラメータとは?種類やメリット、活用事例、注意点を解説一定期間測定を継続すると、効果があった広告とそうでない広告が明らかになってきます。効果があった広告については、その要因がクリエイティブなのか、掲載メディアや掲載時期なのかを推測できますが、それをさらに検証する必要があります。このとき、ABテストが有効です。参考:ABテストとは?やり方やツールを紹介効果があった広告の成功要因を明らかにしてさらに活用していく一方、効果が少なかった広告は改善をしていきます。MAの導入により、さらに広告戦略を強化Googleアナリティクスが計測の対象としているのは、広告から自社のWebサイトに流入する「匿名のユーザー」です。一方、メールアドレスを登録してくれた人はユーザーから「見込み客」へと変わります。MAの機能は、獲得した見込み客を詳細かつ継続的にフォローして、商談や購買という成果へ結び付けていくことです。広告の効果測定データをMAに連携することで、広告の改善や集客を促進できます。シャノンの広告管理システム「SHANONアドクラウド」は、広告戦略を管理し、MAツール「シャノンマーケティングプラットフォーム」へと連携して、ワンステップマーケティングの実践を支援します。成果が上がるバナー広告とは? シャノンの事例とポイントを紹介!最後にシャノンで成果があったバナー広告の実例をご紹介します。反響が大きかったバナー広告のクリエイティブを分析すると、いくつかの特徴を挙げることができます。数値を示す実績やアンケート結果などから取得できる、注目に値する数値を、バナー広告内で目立つように配置する方法です。リードナーチャリングはひとことで説明しにくい手法ですが、このバナー広告は、限られたスペースのなかで、リードナーチャリングの必要性を端的に伝えることに成功した事例といえます。課題解決策を示すターゲットユーザーが抱えていると想定される困りごとに対して、自社の商品やサービスがその解決策を提供できますという内容をわかりやすく伝えた例です。バナー広告は画像で伝える広告と捉えられがちですが、重要なメッセージを簡潔なテキストで届けるデザインにしている例は他の広告でも多く見受けられます。具体的なビジュアル資料ダウンロードを促すバナー広告には、入手できる資料のビジュアルを掲載。合わせて、ダウンロード数を表示して人気の資料であることを示しています。BtoCで具体的な商品の画像を見せますが、BtoBの資料を紹介するような広告でも同じような見せ方に効果があるようです。まとめ本稿のポイントは以下の4点です。1.バナー広告とは、主に画像で表示させるWeb広告のことです。動画やテキスト、アニメーションを掲載することもあります。2.バナー広告のメリットとデメリットは以下です。《メリット》情報量が多い認知度向上に役立つ即効性がある潜在顧客にアプローチできる《デメリット》CVが低いこともある制作コストがかかる成果が出ないこともある3.バナー広告はターゲットを明確にしてクリエイティブを作成し、GDNやYDAに出稿を依頼します。広告の効果を測定した結果をもとに、次の広告プランを改善します。4.効果的なバナー広告の特徴として、具体的な数値をアピールしたり、課題の解決策をわかりやすく伝えたりといった点が挙げられます。
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Webサイトを見ているとき、ブラウザの再読込ボタンを押すたび同じWebページが更新されますが、広告枠には違う広告が表示されます。この広告表示を支えている技術がリアルタイムビディング、RTBです。今回は、現代のWeb広告に欠かせない技術であるRTBを取り上げます。RTBとは何か、歴史的背景、メリットとデメリット、RTBのしくみと価格決定方式などについて、順を追って解説していきます。目次RTBとは何? なぜ広まったのかRTB、リアルタイムビディングとはWeb広告の歴史的経緯とRTBの位置づけRTBのメリットとデメリットRTBのデメリットを補完するため「純広告」を併用RTBのしくみDSP、SSPとはSSP、DSPを介してRTBが広告を配信するしくみ「フロアプライス」「ヘッダービディング」など、RTB運用の工夫フロアプライスとセカンドプライス、ファーストプライスメディアの収益を最大化する「ヘッダービディング」とはまとめRTBとは何? なぜ広まったのかRTBとは何か、歴史的背景、メリットとデメリットを解説します。RTB、リアルタイムビディングとはRTBは、Web広告の用語です。RTBとはRealTimeBidding(リアルタイムビディング)の略で、直訳は「即時入札」。ネット上の広告枠を売買する方法のひとつです。ユーザーが見ているWebページに広告が1回表示されることを1インプレッションといいます。RTBでは、1インプレッションごとにオークションが行われ、最も高額の入札単価を提示した広告主の広告が表示されます。RTBの所要時間は0.1秒未満で、ユーザーが新規にページを読み込む操作をして、そのページが表示されるまでのわずかな時間にこの取引が行われます。Web広告の歴史的経緯とRTBの位置づけRTBは最新の広告配信方法ですが、そこへ至るまでのWeb広告配信方法の歴史を簡単に振り返ります。最初のWeb広告世界初のWeb広告は1994年、AT&Tが「HotWired」という雑誌メディアに掲載したバナー広告といわれています。このときは、メディアのWebページに広告バナーを直接貼り付ける形でした。広告枠の取引もメディアと広告主が1対1で直接行われていました。参考:バナー広告とは?メリット・デメリット、出稿方法、効果があったバナー広告事例を紹介!アドネットワークの登場Web広告市場が拡大した2000年代、インターネット界の広告代理店といえる「アドネットワーク」が登場し、メディアと広告主の双方をとりまとめて配信されるようになりました。個別に取引する手間が減ったことがメリットですが、広告主にとって費用対効果が高い広告枠の組み合わせを選べない、メディアは最も高額を提示する広告主を選べないという課題がありました。アドエクスチェンジの登場広告枠ごとの取引を実現させるプラットフォームであるアドエクスチェンジが登場し、広告主・メディア双方の希望をかなえながら効率よく広告配信できるようになりました。アドエクスチェンジにおいて、メディア側は広告枠を最も高額で売ることができ、広告主側は予算枠内で費用対効果のいい広告配信ができます。RTBは、アドエクスチェンジにおける広告枠の迅速なマッチングに活用されています。アドエクスチェンジのようなしくみで配信される広告を「運用型広告」といいます。一方、特定の広告枠を特定の広告主が購入する旧来の出稿方法を「純広告」といいます。RTBのメリットとデメリットRTBは、広告主と広告枠を売りたいメディア、それぞれに以下のようなメリットとデメリットがあります。広告主のメリット広告主は、設定予算枠内で効率よく出稿できます。広告主が配信を予約するときに設定するターゲットに届く広告の選択肢のなかで、幅広い広告枠のなかから費用対効果の高い枠へ配信ができます。また、配信結果を確認しながら配信プランを変更することが容易です。メディアのメリット広告枠を売るメディアは1インプレッションごとに高額の広告主が選ばれるので、売上を最大化できます。一方RTBのデメリットは以下です。広告主のデメリット広告主が広告枠を直接選べないので、意図していないメディアに広告が配信される可能性があります。メディアのデメリットメディアのイメージを損なうような広告が配信される可能性があります。また、RTBのプロセスを経るなかで、必ずしも最高額を提示した広告主が選ばれるわけではないということもデメリットです。これについては後述します。RTBのデメリットを補完するため「純広告」を併用RTBによる運用型広告は上記のように、広告主とメディア双方が直接相手を選べないというデメリットがあります。そこで、広告主とメディアが取引する「純広告」が今でも併用されています。純広告とは、広告枠と期間を決めて配信するWeb広告のことです。以下のYahoo!のスペースのように、多くの人の目が見る人気の広告枠では純広告が設定されていることが多いです。純広告の費用は固定です。広告主は、メディアが指定した料金で広告枠を購入します。RTBのしくみRTBでは0.1秒の間にさまざまな処理が行われています。そのしくみを解説します。DSP、SSPとはDSPはDemandSidePlatformの略です。需要側とは広告を出したい企業のことで、広告配信の入札をとりまとめているのがDSPです。広告主がどんなユーザーに広告を配信したいか設定する「ターゲティング」も管理しています。SSPとは、SupplySidePlatformの略で、広告枠を売りたいメディアの応札情報のプラットフォームです。メディアの集積を最大化するよう広告枠を管理運用しています。RTBはDSPとSSPの間に位置し、広告主とメディア、双方にとって最適な入札を実行するプログラムです。SSP、DSPを介してRTBが広告を配信するしくみ以下の図は、SSP、DSP、RTBを経由する広告配信を簡単に示した図です。ユーザーが新規にWebページを読み込むとき、そのページの広告枠に1インプレッションが発生します。ここに広告を表示させるリクエストをSSPが受け取り、DSPに送信。DSPは管理している広告のなかで入札価格の高い広告をSSPに返信します。SSPは複数のDSPから表示させる広告の提案を受け取り、最も高額の広告に配信をリクエストします。RTBがこのような一連の処理を約0.1秒の間に行っています。GoogleアドネットワークやGMOのようなネット広告を取り扱う企業は、SSPとDSPの両方を管理しています。「フロアプライス」「ヘッダービディング」など、RTB運用の工夫RTBは効率を重視して確立されたしくみですが、広告主やメディアにとってより使いやすくなるよう、プライス設定やマーケットの限定などに関して、運用上の工夫がされています。フロアプライスとセカンドプライス、ファーストプライスRTBにはメディアのために広告枠の価格暴落を防ぐ「フロアプライス」、広告主のために価格高騰を防ぐ「セカンドプライス」というしくみがあります。フロアプライス広告枠にはあらかじめ最低落札金額が設定されていて、それより低い価格で広告枠が取引されることはありません。フロアプライス以上で入札した広告主が1社だった場合は、「フロアプライス+1円」で落札されます。フロアプライスにより、メディアが一定の売上を確保できるようにしています。セカンドプライス1インプレッションについて複数の広告主が入札したとき、最も高額の入札価格を提示した広告主との取引が成立します。このとき、落札価格は2番目の広告主が提示した価格である「セカンドプライス+1円」となります。広告枠の価格が高騰しすぎず、かつオークションが活発に行われるためのしくみです。ファーストプライス2019年、Googleが提示された最高額で落札する「ファーストプライス」方式へ移行しました。これに伴い、近年はファーストプライスが主流になってきています。Web広告の人気が高くなっていることが一因とされます。メディアの収益を最大化する「ヘッダービディング」とは前述したようにRTBはスピーディーに取引されるとはいえ、かなり複雑なしくみで、複数のオークションが同時に行われています。このとき、必ずしも最高額を提示した広告主が選ばれないことがあり、メディアの収益を損なっていることが問題点とされます。ヘッダービディングは、このようなRTBの課題に対処する新たなしくみです。ヘッダーとは特定の広告枠のことです。1つの広告枠に対して、希望するすべての広告主を一元的に集めて、一度のオークションで最高額の広告主を選び、Web広告を配信します。ヘッダービディングはRTBに比べて表示速度も速いため、今後さらに浸透すると思われます。まとめ本稿のポイントは以下の3点です。RTBとはWebページの広告枠の1インプレッションごとにリアルタイムで行われるオークションにより広告を配信するしくみで、広告主にもメディアにもメリットがあります。RTBはDSP、SSPの間でメディアと広告主の最適なマッチングを選択するシステムです。RTBにはフロアプライス、セカンドプライスなどの価格設定があります。近年はファーストプライスへの移行が進んでいます。
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