1分で終わる簡単なものから時間がかかる設問数の多いものまで、幅広く実施されているアンケート。誰でもアンケートに答えた経験があるでしょう。そして、仕事などでアンケートを作成して集計した経験を持つ人も少なくないと思います。単純な方法でありながら貴重なデータが得られ、多くの場面で活用されている「アンケート」は、マーケティングにとっても欠かせない重要な施策です。今回は、マーケティングにおけるアンケートの役割、活用方法、適切な実施方法などを解説します。また、シャノンマーケティングプラットフォームのアンケート機能についても後半でご紹介しています。なお、アンケートの集計と分析については別の記事で解説しています。参考:アンケート結果を活用するために欠かせない、アンケートの集計と分析の方法目次マーケティングにおける「アンケート」の機能とは?アンケートとは? 市場調査、インタビューとのちがいアンケートの種類と実施方法アンケート調査の活用方法マーケティングに本当に役立つ、アンケートの実施方法アンケートの目的と仮説を決める実施方法・調査対象・サンプル数の決定アンケートの回収率を左右する、質問項目の作成MAのアンケート機能を活用無料のGoogleFormなどでもアンケート作成が可能アンケート結果の活用事例企業のアンケート活用事例シャノンのアンケート活用事例まとめマーケティングにおける「アンケート」の機能とは?アンケートや市場調査とは何か?を確認した後、マーケティングにおいてアンケートがどのように活用されるのか?についてまとめます。アンケートとは? 市場調査、インタビューとのちがいアンケートとは、多くの人に対して同じ質問をして、回答を集計する調査方法です。企業のマーケティングにおいては、一般ユーザーや顧客に対してアンケートが実施されます。アンケートは、「Aの商品を買いたいですか?」という質問に対して「はい/いいえ」で回答した数に注目する「定量調査」です。一方、「なぜAの商品を買いたいと思いましたか?」と直接質問して、会話をしながら趣味や嗜好を聞き出すことを「インタビュー」といい、こちらは「定性調査」です。アンケートやインタビューは企業自らが集めた情報であり、これは「1次データ」と呼ばれます。国や調査会社の統計資料などは「2次データ」、1次データや2次データを加工したものを「3次データ」と呼びます。市場調査とアンケートの位置づけについて確認しておきます。アンケートやインタビューは「市場調査(マーケットリサーチ)」の一環として行われます。市場調査とは様々な調査とデータ分析により市場を知ることで、その一手法としてアンケートやインタビューがあります。アンケートの種類と実施方法アンケートには様々な種類があります。まず、実施方法として以下があります。Webアンケートネット上で回答してその場で送信するアンケートの方法は、回答・回収がしやすく、よく用いられています。街頭アンケート繁華街などで歩く人に声掛けしてアンケートを実施する方法です。商品プレゼントなどと合わせて実施されることも多いです。会場アンケート特定の会場を用意して回答してもらう方法です。質問数が多く回答に時間がかかるアンケートの場合の方法です。訪問アンケート直接自宅や職場を訪ねて、対面でアンケート調査を実施する方法です。回答者にじっくり回答してもらうため、後日改めて回収のために訪問する場合が「訪問留置調査」といいます。この他に郵送、電話、FAXなどでもアンケートが実施されています。また、回答者の集め方は調査目的によって違います。新商品開発のための調査などでは繁華街でランダムに人を集めます。マーケティング施策のペルソナを設定する場合なら顧客が対象となります。アンケート調査の活用方法冒頭で説明したように、企業が実施するアンケートで得られるのはその企業だけの貴重な「1次データ」です。その情報は、以下のような多くの用途に活用されます。マーケティング施策の改善「メルマガが多すぎる」「参加したイベントがよかったので、また実施してほしい」など、アンケートで多かった意見があればマーケティング施策の改善に役立てます。ペルソナを設定する企業や特定の商品に固有のペルソナは、アンケートなどの1次データで裏付けることにより、明確化され、多くのマーケティング施策に役立ちます。顧客満足度を知る商品を購入してくれた人を対象とするアンケートでは、顧客満足度を知ることができます。また、「どこからこの商品を知ったか」「なぜこの商品を選んだか」などの質問の回答も重要な情報です。商品や企業のブランドイメージを知る認知度やブランドイメージのアップはマーケティングの重要なテーマです。定期的なアンケートによりイメージアップ施策の成果を測れます。また、外部調査によって客観的に計測することも有効です。新商品開発に活用する新商品開発の現場ではアンケートがしばしば実施されます。ネーミングやパッケージ、価格などを決めるうえで重要な指標です。営業資料として活用するBtoBビジネスではお問い合わせフォームに簡単なアンケートを用意し、顧客の要望をあらかじめ知ることで営業成果を上げている例があります。ホワイトペーパー/セミナーやウェビナーのコンテンツ「他の企業にはどんな課題があるのか?」などを知ることができるアンケート結果は見込み客にとっても魅力あるコンテンツとなるので、ホワイトペーパーやセミナー、ウェビナーのコンテンツになります。ニュースリリース広く一般の人にとって興味深いアンケート結果は、価値あるニュースとなります。ニュースリリースが多くのメディアで注目されれば認知度アップにもなります。以上のように、アンケートは幅広く約立ちます。しかもあまりコストをかけずに実施できるので、どんどん実施しようと思われた方もいるかもしれません。しかし、信頼に足る有意な結果を得て各種施策に役立てるためには、手順を守り正しく実施する必要があります。マーケティングに本当に役立つ、アンケートの実施方法アンケートを実施するときの適切な手順、注意点について述べていきます。アンケートの目的と仮説を決める実施にあたり、まずアンケートの目的を明確にして、仮説を設定します。仮説はたとえば、「ウェビナーを45分に設定して実施しているが、35分に短縮した方が利用しやすい人が多いのではないか?」「月額500円のサブスクリプションサービスのプレミアム版は、月額780円でサービス内容は××を追加するのが適切ではないか」のように設定します。このように具体的に設定すると、仮説の数値に近い選択肢を含めてアンケートを実施し、仮説の通りかどうかを検証するといった方針が定まります。具体的な数値なしに「ウェビナーが長すぎる」「プレミアムプランがあったほうがよい」といった回答を得られたとしても、改善の方針が定まらなくなってしまいます。実施方法・調査対象・サンプル数の決定アンケートの目的や仮説が決まったら、実施方法と調査対象、必要なサンプル数を決めます。実施方法は、Webアンケートや会場アンケートなどのうち実施しやすいものを選びます。調査対象者は、アンケートの目的に合う属性の人を集める必要があります。上記の仮説でウェビナーについて問う場合は普段ウェビナーの案内を出す顧客や見込み客となりますが、新しいサービスについてのアンケートの場合はどうでしょうか。新サービスの調査対象は、現在の顧客である「月額500円のサブスクリプションサービスを利用している人」ではないことに、注意が必要です。現サービスを使用していないが内容が違ったら購入するかもしれないターゲット層」を含めて調査する必要があります。次にアンケートを実施するサンプル数を決めます。アンケート調査では、サンプル数が少ない、および回答の割合(はい/いいえなど)が50%/50%に近いほど誤差が大きくなります。以下はサンプルサイズと誤差の早見表です。たとえば横軸のサンプル数が200で縦軸の「はい」の回答が30%だったとき、誤差は±6.4%となります。株式会社グルーブワークス、サンプルサイズ(人数)はどうやって決める?【便利な計算ツールもご紹介】表の右寄りの1000人を超えたエリアを見ると、サンプル数を増やしても誤差はさほど変わらないことがわかります。また、厳密にいうと必要なサンプル数はアンケートの集計・分析方法によっても違いがあります。ただ、ごく大まかな目安として、アンケートではサンプル数を500ほど集めることが基本と認識しておきましょう。実際にはアンケート対象者の数がもっと少ない場合もあり、十分なサンプルサイズを確保できないこともあるでしょう。しかしサンプルサイズと誤差の関係は知っておきましょう。アンケートの回収率を左右する、質問項目の作成アンケートの質問項目の作成では、以下のようなポイントをおさえます。冒頭に性別、年代などの属性を質問するアンケートの集計の際には、回答を属性で分析する「クロス集計」がよく行われます。回答者の傾向を深く知りたい場合、属性についての質問はできるだけ簡単にしつつ、ぜひ入れておきたい項目です。仮説をふまえ、正確に集計できるように項目や選択肢を設定する回答者にとってわかりやすく答えやすいアンケートを心がけます。選択肢を設置するときは、後で集計するときの計算方法も考えておきます。質問数を絞り込み、回答しやすさを考えて作成する質問数と質問の内容を厳選して、できるだけ絞り込みましょう。質問の順序は、答えやすいシンプルな質問から始めて、自然に内容が流れていくようにします。特定の答えを誘導しないようにする仮説で「こうではないか」と想定している結果があるとはいえ、誘導してしまったら正確な結果を得られません。質問や選択肢は恣意的な要素を排除してフェアに作成します。質問がわかりにくかったり長かったりして「アンケートの回答しやすさ」に欠けると、アンケートを最後まで回答することなく離脱してしまう回答者の割合が増えてしまいます。アンケートの回収率が下がると結果の精度も下がるので注意しましょう。MAのアンケート機能を活用マーケティング部門では大いに活用したいアンケートですが、実施して回答を回収したものの、その結果を施策に反映するまでに至っていないといった事態も考えられます。アンケートの作成、配布、回収、集計、分析という一連の作業を効率よく実施するために、アンケート機能が搭載されたMAが有効です。一般のMAにアンケート機能が実装されているとは限りませんが、シャノンマーケティングプラットフォームにはアンケート機能があり、サービス利用者に活用されている機能のひとつとなっています。シャノンマーケティングプラットフォームのアンケート機能により、アンケート作成から配布、集計までが効率よく簡単に行えます。複数回のアンケート履歴をリードに紐づけて継続的に管理できることも便利です。無料のGoogleFormなどでもアンケート作成が可能MAやアンケート作成ツールを使っていない場合、無料で利用できるGoogleFormsが便利です。Web上でアンケートフォームを簡単に作成し、メールで送信することができます。質問項目ごとにラジオボタン、チェックボックスなどの回答方法を選んで作成したアンケートフォームをメールで送信後、変身された回答はスプレッドシードに集計された状態で蓄積されます。マイクロソフトのOffice365にもほぼ同じようなFormsというアンケート作成機能があり、Excelで結果を集計できます。アンケート結果の活用事例多様なかたちでアンケートを活用する企業事例、シャノンのアンケート実施例をご紹介します。企業のアンケート活用事例アンケート施策やそのアンケートの集計結果はさまざまな形で活用されていますが、以下はその一例です。「紙ストロー」に関する意識調査結果(日本製紙グループ、2020年11月)紙ストローの使用感は「とてもいい」「いい」を合わせて62.6%と肯定的な結果が出ています。日本製紙の環境への取り組みをPRして企業イメージアップにも貢献するアンケート調査となっています。夏休みの宿題・過ごし方に関するアンケート(株式会社イオレ、2022年8月)「らくらく連絡網」のサービスを提供する同社がサービスのユーザーを対象としたアンケートを実施して、その結果をリリースしています。子育て世代に共感を呼びそうな内容でユーザー層にアピールするとともに、企業向けには子育て世代向けのマーケティング支援ができることを告知しています。アンケートに答えてプレゼントに応募(アサヒディアナチュラ2022年7月)「アンケートに答えて応募」は多くの企業が実施するプロモーション方法です。QRコートを読み取ってLINEからアンケートを送信し、プレゼントに応募します。商品について認知度を高めると同時に、ユーザーデータを集めることができる手法です。シャノンのアンケート活用事例シャノンでは各種のアンケートを実施して施策のエビデンスを得るとともに、集計結果を活用しています。アンケートから読み解く動画活用のポイント(2021年5月)企業と視聴者へそれぞれ、ビジネス情報の動画活用についてアンケートを実施。2020年時点で5割以上の企業がウェビナーを開始していること、視聴者はWebサイト動画からの情報収集を重視していることなどの結果をとりまとめ、発表しました。集計結果はニュースリリースとして配信したり、同時期にリリースした「動画管理機能」のプロモーションに活用したりしました。ウェビナーが定着した一方で、セミナーを希望する人は3割以上(2021年5月)ウェビナーが浸透した2021年秋、コロナ禍が落ち着いたらウェビナーよりもセミナーを希望するかどうかを調査し、セミナーを選ぶという回答が3割で、今後情報収集のチャネルは多様化すると結論付けました。このアンケート結果はウェビナーのテーマとして取り上げました。以下は、ウェビナーで実施する参加者アンケートについての記事です。参考:【事例あり】ウェビナーにおけるアンケートの重要性と回答率を高める質問項目を紹介!今回の記事ではアンケートの基礎知識と実施の手順について紹介しましたが、アンケートの集計と分析については以下で解説しているのでこちらも参照してください。参考:アンケート結果を活用するために欠かせない、アンケートの集計と分析の方法まとめ本稿のポイントは以下の4点です。1.アンケートはマーケティングの市場調査の位置手法に位置づけられます。企業にとって貴重な1次データが得られます。2.アンケートは以下のようにマーケティングで活用されます。・マーケティング施策の改善・ペルソナを設定する・顧客満足度を知る・商品や企業のブランドイメージを知る・新商品開発に活用する・営業資料として活用する・ホワイトペーパー/セミナーやウェビナーのコンテンツ・ニュースリリース3.有効な結果を得るために、アンケートの仮説設定や質問項目の絞り込みがポイントとなります。4.MAツールによりアンケートの作成、配布、集計、分析が自動化でき、見込み客や顧客データと一括で管理もできます。
マーケティング基礎知識
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自社が提供する価値を支持してくれるファンは、企業にとって重要な存在です。「価値」と一言でいっても、どこに価値を感じるかは人それぞれです。商品やサービスには、価格や性能などの「機能価値」や、商品・サービスにまつわる思い出や愛着などの「情緒価値」があります。加えて、企業が実施している社会活動へ共感する「社会価値」などがあります。こうした価値を自社や自社の商品・サービスに感じてくれるファンを増やしていくのが「ファンマーケティング」です。この記事では、ファンマーケティングについて解説していきます。ぜひ、参考にしてください。目次ファンマーケティングとはファンマーケティングが注目される理由ファンマーケティングのメリット顧客ロイヤリティが高まり売上が安定するブランディングにつながる広告宣伝費が削減されるファンマーケティングで注意することファンマーケティングを成功させるために必要なツールMAツールCRMツール各種SNSファンマーケティングとソーシャルメディアマーケティングファンマーケティングがうまくいっているかどうかを調べる方法NPSの測定ソーシャルメディアのエンゲージメントを分析リピーターの割合を分析口コミの分析ファンマーケティングに必要なスキルコミュニケーションスキルデータ分析スキルクリエイティブスキルファンマーケティングに成功している企業の事例ヤッホーブルーイングカゴメワークマンまとめファンマーケティングとはファンマーケティングとは、顧客との関係性を強化することで、企業や企業の商品・サービスのファンになってもらい、売上やブランド価値向上を目指すマーケティング手法です。ファンがどのようなことに価値を感じるかを理解し、ファンに喜んでもらう商品・サービスを提供していきます。近年ではインターネットの利用率が80%を超えているため、ファンマーケティングもインターネット上を中心に考えられています。インターネット上でおこなわれるファンマーケティングの手法SNSSNSによる企業とファンによる双方向のコミュニケーションコンテンツマーケティングオウンドメディアによる情報発信ファンコミュニティファン同士が交流するコミュニティメールマガジンメールによる情報発信ライブ配信ライブ配信による企業とファンとの双方向のコミュニケーションクラウドファンディングクラウドファンディングファンから資金を集めて、商品やサービスを開発・販売。リターンを送る。ファンマーケティングが注目される理由現代ではモノや情報が溢れており、企業同士の競争も激しくなっています。他社との競争優位性がなくなりつつあるため、最終的には価格勝負となってしまい、値下げ競争となってしまいがちです。モノや情報が溢れた結果、消費者の多様化も進みました。チャネルが増え、購買行動が変化し、それぞれに求める性能や価値が違ってきています。そのような時代だからこそ、自社に価値を感じてくれるファンを増やしていく必要があるのです。近年ではSNS(ソーシャルメディア)や口コミサイトが普及しており、消費者自らが発信して情報を共有するコンテンツが増えています。これをUGC(UserGeneratedContent)と呼びます。UGCは、企業が発信する情報と比べて信頼性が高く共感を得られやすいのが特徴です。こうした背景もあり、企業としては積極的にUGCを広めていきたいのです。UGCを生み出すためのアプローチ手段としても、ファンマーケティングは注目されています。ファンマーケティングのメリットファンマーケティングを実施すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットは以下の3つです。 顧客ロイヤリティが高まり売上が安定するブランディングにつながる広告宣伝費が削減されるそれぞれくわしく解説します。顧客ロイヤリティが高まり売上が安定するファンマーケティングを実施することで、顧客のロイヤリティが高まります。有名な「パレートの法則」にあるように、売上の8割は2割の顧客によって生み出されます。この2割の顧客がロイヤリティの高い顧客であり、ファンです。ロイヤリティの高い顧客は商品やサービスを何度もリピート購入したり、口コミで広めてくれたりするため、売上が安定します。企業の一顧客が生涯にわたって購入する総額である「LTV」の最大化にもつながるのです。LTVは「LifeTimeValue(ライフタイムバリュー)」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。LTVが向上すれば経営は安定し、企業の成長につながります。LTVについては、「LTVとは?BtoBマーケティングにおけるLTVの重要性、施策、成功事例を解説!」をご覧ください。ロイヤリティの高い顧客のことを「ロイヤルカスタマー」と呼び、日本では「常連客」や「お得意様」と表現することが多いです。まさにファンと呼べる存在です。企業にとっては最重要な顧客であり、いかにロイヤルカスタマーと呼ばれるファンを増やすかを考える必要があります。ロイヤルカスタマーについては「ロイヤルカスタマーとは?その定義と、MA連携でロイヤルカスタマーを増やす手法」をご覧ください。ブランディングにつながるブランディングとは、販売したい商品やサービスのターゲットとなる顧客を定め、顧客に共通イメージを形成することを目的とした活動を指します。ブランディングは、企業が一方的に作るものではありません。ファンによって作られることもあります。ファンマーケティングがうまくいけば、ファンによってブランディングが形成され広がっていく可能性もあります。ブランディングに成功してファンが増えると、他社と価格面で競争する必要がありません。結果、価格を高く設定できるので、利益率を高められます。ブランディングに成功している例として、スターバックスやAppleが挙げられます。スターバックスやAppleが値下げキャンペーンをすることは、ほとんどありません。ブランディングは社外に対してだけではなく、社内に対しても効果があります。人材採用がしやすくなり、働くモチベーションも高まります。採用率が上がり、離職率は下がるので、求人広告費や人材紹介料などの採用にかかる費用も抑えられるのです。ブランディングについては「ブランディングとは何か?企業の成功事例や意味をわかりやすく解説」をご覧ください。広告宣伝費が削減される従来のプロモーション手段として、テレビCMや新聞などのマスメディアを活用した広告がありました。しかし、最近はテレビを見る人や新聞を購読する人は減少しています。インターネット広告は増えていますが、数え切れないほどの広告があるため、なかなか顧客に届きません。顧客がファンになってくれると、自社や自社の商品・サービスを家族や友人などに口コミで広めてくれる可能性が高まります。ファンがファンを連れてきてくれるため、お金をかけて広告を出稿しなくても、新規顧客獲得が可能です。toCはもちろん、toBでも口コミ効果は大きいです。口コミは通常の広告に比べて信頼性が高いため、大きな金額が動くtoBでも効果があります。先ほども紹介したパレートの法則は、売上の8割は2割の顧客によって生み出されるという考え方です。ファンマーケティングに注力し、2割のファンを大切にすることで、広告を出さなくても成長できる可能性が高まります。ファンマーケティングで注意することファンマーケティングは、はじめてすぐに結果の出るものではありません。地道な取り組みを、じっくりとおこなう必要があります。短期的ではなく、中長期的な視点で取り組みましょう。定量的な成果をすぐに求めてしまいがちですが、まずは定性的な成果を積み上げていくことが大事です。また、ファンとの信頼を築くのは大変ですが、崩れるのは一瞬です。仮に商品・サービスに問題があったり、サポート対応に不満を抱かれた場合には、ファンが一気に離れてしまう可能性もあります。最近はSNSで炎上する企業アカウントもあります。そうならないためにも、SNSの運営ルールや投稿マニュアルは事前に作成しておきましょう。ファンマーケティングを成功させるために必要なツールファンマーケティングを成功させるためには、さまざまなツールが欠かせません。特に最近はデジタルを利用する方が多いので、デジタルツールが必要です。以下の3つのツールをご紹介していきます。MAツールCRMツール各種SNSMAツールMAツールとは「マーケティングオートメーションツール」を指します。MAツールは、「購買フェーズを引き上げるために顧客の状況にあわせて実施される、マーケティング活動全般を自動化するためのツール」です。「顧客」というのは新規顧客に限りません。既存顧客も含みます。MAツールを活用すれば、キャンペーンマネジメントやメールマーケティングも可能になります。お客さま一人ひとりに合った情報発信ができるので、顧客を育成してファンになってもらうための濃いコミュニケーションが可能です。さらに、MAツールを活用すれば、ファンがWebサイト上でどのように行動しているかもわかります。どのようなコンテンツに興味・関心を抱いているかを分析できるので、その次に制作するコンテンツの参考にできます。このようにMAツールは、ファンマーケティングを成功させるために欠かせないツールといえます。MAやMAツールについては、「マーケティングオートメーション(MA)とは?基礎知識やツールについてわかりやすく解説」をご覧ください。CRMツールファンマーケティングを成功させるためには、顧客とのコミュニケーションを円滑におこなうことが重要となります。そこで活用できるのが「CRMツール」です。CRMは日本語で「顧客関係管理」という意味で、CRMツールは顧客情報を最大限に活用するツールとなります。うまく活用すれば、顧客のことをできるだけ一人ひとり、詳細に理解することが可能です。CRMツールの基本機能は以下のとおりです。1) 顧客管理顧客のプロフィールや購入履歴のほか、各種のコンタクト履歴まで一元管理します。2) 問い合わせ管理既存顧客からの問い合わせ、商品への要望・クレームなどを管理します。3) 顧客フォロー管理商談や電話連絡など企業側からのアクション、メールマガジン配信やキャンペーン実施の履歴などについて管理します。4) 顧客分析既存顧客のデータを正確に蓄積し分析することで、特にフォローすべき優良顧客の判定、マーケティングに役立つペルソナの設定などが可能です。また、顧客ニーズを正確に知ることが事業戦略や商品開発に役立ちます。CRMやCRMツールについては「顧客理解に欠かせないCRMとは?マーケティングにどう役立てる?」をご覧ください。各種SNSファンマーケティングにおいて、SNS(ソーシャルメディア)の活用は非常に有効です。企業は自社の情報を発信することで顧客とのコミュニケーションをおこない、顧客との関係を強化できます。顧客からの「いいね」やコメントなど、一方通行の発信だけではなく、双方向のコミュニケーションが可能です。また、SNS上でプレゼントキャンペーンやハッシュタグを活用したイベントなどを開催することで、顧客との交流を深められます。近年、多くの方がSNSを利用しています。日本のSNS普及率は80%を超えたという調査結果があるほどです。出典:2020年度SNS利用動向に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】年齢層や活用シーンによって利用されるSNSは異なります。たとえば、年齢層が高くBtoBで活用したいなら「Facebook」がおすすめです。一方、年齢層が低くBtoCに活用したいなら「Instagram」や「TikTok」がおすすめとなります。幅広い層に拡散するためには「Twitter」がおすすめです。自社のターゲット層に合わせたSNSを選んでください。ファンマーケティングとソーシャルメディアマーケティング冒頭で説明したとおり、ファンマーケティングは顧客との関係性を強化することで、企業や企業の商品・サービスのファンになってもらい、売上やブランド価値向上を目指す手法です。ソーシャルメディアマーケティングは、SNSを活用してファンを増やし、売上や認知度向上を目指す手法です。どちらもファンを作って企業にとっての利益を目指す点では、目的は同じといえます。リアルイベントと違ってSNSは場所や時間の制約がないため、気軽に参加可能です。しっかりとソーシャルメディアマーケティングに取り組むことで、ファンとなってくれる方を増やせます。ソーシャルメディアマーケティングについては「ソーシャルメディアマーケティングとは?BtoBビジネスにおけるSNSの活用方法」をご覧ください。ファンマーケティングがうまくいっているかどうかを調べる方法ファンマーケティングを成功させるには、中長期的な視点が必要とお伝えしました。しかし、企業の場合は定期的なレポーティングが求められるでしょう。うまくいっているかどうかを調べるには、どのような手段があるのでしょうか。以下の4つの方法を解説していきます。NPSの測定ソーシャルメディアのエンゲージメントを分析リピーターの割合を分析 口コミの分析NPSの測定ファンマーケティングがうまくいっているかどうかを調べるうえで、有効な指標が「NPS」(NetPromoterScore、ネットプロモータースコア)です。NPSの測定方法はシンプルです。「あなたはこの商品/サービスを他の人に勧めますか?」という質問について0から10までの11段階で回答してもらいます。その結果、顧客を以下のように「推奨者」「中立者」「批判者」に分類できます。この場合、9~10と回答した「推奨者」はファンであるロイヤルカスタマー、または将来ファンになってくれる可能性が高いです。企業のNPSは、「NPS=推奨者の割合-批判者の割合」として数値化されます。NPSは企業の成長率との相関性も高いとされています。似た指標として挙げられるのが「顧客満足度」です。しかし、アンケート調査で「満足」と回答した顧客が、必ずしもその後にファンにならないのと比較して、「人に勧めたい」という回答がその後、ファンに結びつく可能性が高いという調査結果が報告されています。ソーシャルメディアのエンゲージメントを分析SNSを活用している場合、エンゲージメントを分析することで、ファンマーケティングがうまくいっているかがわかります。エンゲージメントとは、深いつながりを意味します。SNSでのエンゲージメントは「いいね」や「RT」、「コメント」など、投稿に対する反応のことです。フォロワーが多いのにエンゲージメントが少ない場合は、以前はファンだったけど現在は違うこともあるので、ファンの熱量や共感を維持していくことが重要です。現代ではさまざまな商品やサービスが溢れています。自社の商品やサービスの情報を常に届けていないと、他にファンを奪われてしまうかもしれません。SNSのエンゲージメントが下がっている場合は、注意が必要です。SNS上での接点を増やし、ファンの熱量や共感を維持していきましょう。リピーターの割合を分析リピーターの割合が増えれば、ファンマーケティングはうまくいっていると考えられます。リピートするのは、商品・サービスに満足し、また買いたいと思ってくれたからです。何度もリピートしてくれるリピーターは、ファンになってくれる可能性も高いといえます。ファンである顧客のリピート購入率は非常に高く、9割を超えるというデータもあるほどです。(参照:トランスコスモス株式会社CommunicationScienceLab,消費者と企業のコミュニケーション実態把握)リピート率を高めるために、会員制度を設けることも施策の1つです。会員制度によってポイントや特典を付与する施策は有効ですが、会員向けの特典に比重を置きすぎると、会員ではないファンの反発を招く可能性があります。バランスを考えて施策を実施することが重要です。口コミの分析ファンとなってくれた顧客は、家族や友人に商品・サービスを紹介してくれたり、SNSやレビューサイトで発信してくれたりします。いわゆる口コミです。身近な人や実際に商品・サービスを使っているユーザーの口コミは非常に効果的です。ポジティブな口コミが増えている場合は、ファンマーケティングがうまくいっているといえます。逆にネガティブな口コミが増えている場合、商品・サービスの品質を向上させたり、コミュニケーション戦略を考え直さなくてはいけません。こうした口コミを分析することで、自社の商品・サービスがどのような印象を持たれているのかがわかります。そこにファンを獲得するためのヒントがあるはずです。毎年、データを分析していけば、前年比でどれくらい口コミが増えたのかもわかります。ファンマーケティングに必要なスキルファンマーケティングを実施するには、マーケティング全体のスキルに加えて、さまざまなスキルが必要になります。3つのスキルを紹介します。コミュニケーションスキルデータ分析スキルクリエイティブスキルコミュニケーションスキルファンマーケティングを実施する際、必ず発生するのがコミュニケーションです。フェーズによりますが、自社でファンコミュニティの運営やイベントの開催をすることもあります。その際にコミュニケーションスキルは欠かせません。ファンマーケティングは中長期視点で継続的におこなう必要があるので、ファンからのフィードバックを得ながら進めなければいけません。その際にもコミュニケーションスキルがないと、適切なフィードバックを得られない可能性があります。ファンによるコミュニティが生まれていて、活発に活動されている場合、企業側はあえて距離を取ることも必要です。「公式の中の人」が介入してしまうと、ファン同士の交流に水を差してしまう可能性があります。こうした雰囲気を読むこともコミュニケーションスキルの1つといえます。データ分析スキルファンマーケティングを実施するなかで、MAツールやCRMツール、アクセス解析ツールなどを使ってデータ分析する機会も多いです。データを分析することで、顧客の行動パターンやニーズを理解し、どのような施策が効果的かを把握できます。ファンマーケティングは、短期間で効果の出るものではありません。計画・実行をし、改善点を見つけ出して次につなげていきます。このようにPDCAを回すことが重要です。改善点を見つけるためには、データ分析スキルが欠かせません。クリエイティブスキル顧客からファンになってもらうためには、CX(CustomerExperience、顧客体験)の向上も考える必要があります。CX向上のためにはさまざまな手段があります。企画やイベントもそのうちの手段の一部です。ファンが興味を持ってくれる良質な企画やイベントを考えるには、クリエイティブスキルが求められます。商品・サービスのストーリーやコンセプトを適切に伝えるためにも、クリエイティブスキルは欠かせません。ファンマーケティングでは、ファンに向けた情報発信のため、独自の世界観を伝えるコンテンツ制作やキャンペーン企画もおこないます。すべて自分で制作する必要はありませんが、外部の業者に依頼する際にもクリエイティブスキルは欠かせません。情報収集をしてファンマーケティングの参考になりそうな事例を学び、クリエイティブに活かしてください。ファンマーケティングに成功している企業の事例ファンマーケティングに成功している企業の事例として、以下の3社を紹介します。ヤッホーブルーイングカゴメワークマンそれぞれに特徴的な施策があるので、参考にしてください。ヤッホーブルーイングヤッホーブルーイングは、クラフトビールの製造・販売をおこなっている会社です。顧客と体験を共創することで、ブランド価値を高めています。ヤッホーブルーイングでは、「よな友ピースプロジェクト」というファンイベントを開催。新製品の発表会にお客さんを招待したり、醸造所見学ツアーを開催したりしています。ファンコミュニティが成熟しており、熱狂的なファンの多さが特徴です。マス広告に頼らない口コミ中心のプロモーションを意識しており、リアルイベントの他にもSNS上で顧客参加型イベントも開催。SNS上でヤッホーブルーイングの商品に関する投稿を見つけると、コメントをしてコミュニケーションを取っています。オウンドメディアも運営しており、さまざまな切り口からのコンテンツを発信しています。発信するだけではなく、記事に対する反応を含む顧客の声を調べてコミュニケーションを図っているのです。ヤッホーブルーイングは、2020年11月期には18年連続で増収を達成するなど、業績を伸ばし続けています。その原動力の1つにファンマーケティングの成功が影響しているといえます。カゴメカゴメでは、「&KAGOME(アンドカゴメ)」というサイトを2015年4月に開設しています。このサイトは「ファンを知る」「ファンに伝える」「ファンと一緒に体験する」が目的です。ファンとカゴメをつなぐファンコミュニティサイトになっており、カゴメとファンだけではなく、ファン同士のコミュニケーションも生まれています。会員登録が必要となりますが、登録は無料です。サイトでは、カゴメからのお知らせの他、ファンによるレシピやレビューが投稿されています。宣伝や一方的な情報発信だけでなく、ファンとのつながりを意識しているサイトです。また、年に数回、&KAGOMEに登録している会員の中から希望者を募集し、カゴメが運営している施設に訪問してもらうイベントも開催しています。カゴメでは商品開発にもファンの声を反映させています。19年2月に新発売された「カゴメ濃厚仕立てのトマトソース」(チューブ版)は、ファンの声に応えて開発したものです。ワークマンワークマンでは、製品の熱いファンである「アンバサダー」によるUGCをマーケティングに活かしています。アンバサダーを導入したことで、売上が1.4倍に成長しました。アンバサダーはインフルエンサーほどの影響力はありませんが、本物のファンであるため熱量が高いです。ワークマンでは、アンバサダーにイベント動画へ出演してもらったり、アンバサダー向けに新製品発表会を開催しています。さらには、アンバサダーに製品開発の打ち合わせに参加してもらい、フィードバックをしてもらうことで、ファン目線での改良が可能となっています。アンバサダーにワークマンを宣伝してもらうだけではありません。ワークマンもWebサイトでアンバサダーのPRをします。アンバサダーに金銭的なインセンティブはありません。無報酬です。それでもアンバサダーになりたいという人は多くいます。ワークマン製品が好きな方をSNSやYouTubeでエゴサーチし、アンバサダーになってもらえるよう声がけしているようです。まとめ本稿のポイントは以下の5点です。1.ファンマーケティングは、顧客との関係性を強化することで、企業や企業の商品・サービスのファンになってもらい、売上やブランド価値向上を目指すマーケティング手法です。2.ファンマーケティングのメリットは、以下の3つです。顧客ロイヤリティが高まり売上が安定するブランディングにつながる広告宣伝費が削減される3.ファンマーケティングを成功させるために必要なツールは、以下の3つです。MAツールCRMツール各種SNS4.ファンマーケティングがうまくいっているかどうかを調べる方法は、以下の4つです。NPSの測定ソーシャルメディアのエンゲージメントを分析リピーターの割合を分析口コミの分析5.ファンマーケティングに必要なスキルは、以下の3つです。コミュニケーションスキルデータ分析スキルクリエイティブスキル
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新しいサービスの名称や機能を企業に認知させたいBtoB企業にとって、試してみたい広告メディアのひとつが「タクシー広告」です。注目を集めているのは、乗車するとすぐ目に入るデジタルサイネージから配信される動画広告。集客効果が高いとされるのは、なぜでしょうか。今回は、タクシー動画広告のメリット、成長した背景、出稿の費用や方法について紹介します。目次タクシー広告とは? 注目されている背景タクシー広告とはタクシー広告が注目される背景タクシー広告のメリット・デメリットタクシー広告の種類と配信方法、費用は?タクシー広告の種類と活用例タクシー動画広告の配信会社タクシー広告の費用、出稿方法、事例タクシー広告で成果を上げるポイント訴求力のある動画コンテンツの制作効果測定の方法を決めておくマーケティング戦略のなかでの位置づけまとめタクシー広告とは? 注目されている背景タクシー広告のなかでも今注目されている動画広告とはどんなものか、それ以外の広告メディアも合わせて紹介します。タクシー広告とはタクシー広告とは、タクシーの車内外に表示される広告全般のことです。ステッカーや紙媒体も含まれます。しかし今、タクシー広告のなかで最も注目されているのは、車内に設置されたデジタルサイネージから配信される動画広告です。そのため、タクシー広告イコール動画広告のことを指していることもあります。ユーザーがタクシーに乗車する時間の平均は18分といわれます。18分という時間は、パソコンやタブレットを出して仕事をするにはやや短く、何もせずに目的地まで乗っていれば長く感じられる時間です。かつてはタクシー車内に、乗客の目に止まる位置にリーフレットを置いていました。しかしリーフレットは乗客が手に取らなければ見てもらえません。それが近年、ディスプレイに置き換わり、動画広告を配信するようになると、18分というスキマ時間に効率よく情報を届けて広告効果を上げられるようになりました。以下は、タクシー広告市場の成長予測の図です。出典:株式会社CARTAHOLDINGS,CARTAHOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施~2021年のデジタルサイネージ広告市場規模は594億円の見通し、2025年には1083億円と予測~タクシー広告はコロナ禍で急速に成長したこと、今後も市場は拡大の見込みであることがわかります。タクシー広告が注目される背景タクシー広告が注目を集めるようになった背景に、タクシーのサービス全般にわたるデジタル化があります。近年タクシーのサービスは大きく変化しています。タクシーに設置されたタブレットは、広告を配信するサイネージであると当時に決済端末でもあります。乗客はタクシー会社のアプリから非接触、キャッシュレスで簡単に支払いをすることができます。タクシーアプリは支払い手段のほか配車サービス、定額運賃や事前確定運賃などを提供していて、ユーザーにとっての利便性が増しています。アプリの会員登録により、いつどんな乗客がどのエリアに乗車するかというデータが取得でき、それをもとに費用対効果の高い広告配信が可能になります。このように、タクシーのサービスがデジタル化されたことで、タクシー広告が広告施策として効果を上げられるようになってきています。2020年以降のコロナ禍で、不特定多数の人との接触を避けることができるタクシー需要が増えたことも、タクシー広告の拡大を後押ししました。さらに、タクシーはビジネス利用が多く、しかも管理職の割合が多いことからBtoB企業がタクシー広告を利用するようになりました。そこで一定の実績が認識され、現在はBtoBの有力なマーケティング施策のひとつとされています。タクシー広告のメリット・デメリットタクシー広告のメリットは以下です。経営者や管理職、富裕層にリーチできる管理職以上のビジネスマンや富裕層は定期的にタクシーを利用する割合が多いことが知られています。これらの層はテレビやネット動画を見る機会が少ないですが、タクシー車内であれば動画を見る可能性があります。企業で決裁権のある経営者や管理職に直接情報を届けられるので、BtoBの広告の配信先として有効です。BtoCであれば投資商品や不動産などの高額商品の広告に向いています。時間と空間が限定され、広告が目に止まりやすい平均のタクシー乗車時間とされる18分という時間、タクシー車内の閉鎖的な空間という条件のもと、乗客はディスプレイから配信される動画にあまり抵抗感を感じずに目を向けます。広告を見てもらえる条件が揃っているといえます。一方、タクシー広告のデメリットは以下です。広告費・コンテンツ制作費が高額であるタクシー広告に動画配信する費用はエリアを限定しても数10万円からと高額です。そのためWeb広告のように低額から始めて効果を見ながら改善していくことができません。初回から成果を上げるためにコンテンツ制作費も十分な額を用意する必要があります。効果測定がしづらいタクシー広告の効果測定はWeb広告に比べると困難です。直接測定することが難しいですが、指名検索数やCVの推移によってある程度把握することができます。ほかに、タクシー会社が提供する配車アプリへのクーポン配信によって効果を測定する方法もあります。タクシー広告の種類と配信方法、費用は?タクシー広告を検討するときに参考になる、タクシー広告の種類、費用、配信方法などを解説します。タクシー広告の種類と活用例タクシー広告には動画広告以外にも種類があります。アナログな媒体による広告、車外に表示させて一般の人に見せる広告などがあります。デジタルサイネージ動画を配信できるデジタルサイネージは主に助手席の後部に設置されています。最新のディスプレイはサイズが大きく画面もクリアになり、届けられる情報量が増えています。車窓サイネージ後部のガラス窓をデジタルサイネージにして動画を配信する最新技術です。アドケース運転席・助手席の背面に設置されたラックにリーフレットを入れる方法です。乗客の目に止まりやすい位置に設置されます。リーフレットの残数で効果測定ができます。ステッカーステッカーは車内向けと車外向けがあります。車内の乗客が見るのはドア内側、運転席後部など。車外向けではドア、サイドウィンドウ、リアウィンドウなどに貼ります。両面印刷で車内外向けのステッカーもあります。サンプリングドライバーが乗客に各種のノベルティを直接配布します。ラッピング車体全体に表示させるラッピング広告は他の車からも歩行者からもよく目につきます。ステッカーやラッピングなど、従来からの広告手法についても、動画広告と組み合わせることによって新たな相乗効果を生むことが期待できます。2022年新春、というタクシーをメディアとして活用した大規模な広告『進撃のタクシー』が展開されました。ディスプレイにキャラクターが登場する『進撃のタクシー』をアプリで配車車窓サイネージで動画広告を配信車内ではアニメを放映正月期間に車内で「進撃のおみくじ」を配布SNSでプレゼントが当たるキャンペーンを実施タクシー広告にはデジタルとアナログの両方がありますが、どちらも最大限活用したタクシー広告の好例といえそうです。タクシー動画広告の配信会社タクシーの動画広告を出稿できるのは主に以下の2社です。■TokyoPrime東京だけでなく大阪、札幌、福岡などの大都市を中心に、全国30都道府県に展開していることが特徴で、サイネージ導入車両66,000台、月間リーチ数は3,300万人です。■GROWTH東京23区内、特に繁華街を走行するタクシーを対象としてサイネージ導入車両11,500台を展開し、月間リーチ数は770万人です。タクシー広告の費用、出稿方法、事例タクシー動画広告の費用は上記2社の場合各種のプランがあり選択肢は豊富です。費用例としては首都圏で1週間動画を配信する場合で300~800万円程度です。これに加えて動画製作費も必要となるため、1000万円以上はかかるでしょう。しかしそれでも、費用対効果に満足してリピートする企業がかなり多いようです。TokyoPrime、GROWTHとも、くわしい媒体資料をWebサイトで提供していて、プランごとの費用と出稿方法が明記されています。また、タクシー広告の事例も公式Webサイトで多数紹介されています。TokyoPrimeの事例紹介GROWTHの事例紹介タクシー広告で成果を上げるポイント費用をかけてタクシー広告にトライするなら、成果を上げられるよう十分な準備をして臨みたいところです。成果を上げるポイントについて解説します。訴求力のある動画コンテンツの制作タクシーのデジタルサイネージでは視聴者向けの情報番組を配信していて、その合間に広告が流れます。動画広告は30秒が基本です。30秒あれば充実したコンテンツを届けることができます。動画制作のポイントは以下です。音声なしでも伝わる構成にするタクシー車内のサイネージからは音声も流れますが聴こえづらい場合もあります。音声なしでも内容がわかりやすく伝わる動画にすることが重要です。ターゲットに合うコンテンツターゲットは企業の管理職なのか富裕層なのか、自社の商品を届けたいペルソナを明確にして動画を製作します。自社メディアへの誘導配信画面にQRコードを表示させてオウンドメディアなどに誘導すればさらに追加の情報を届けられて、アクセス数を測定することもできます。効果測定の方法を決めておくタクシー広告の効果を測定する方法として、以下のようなものがあります。指名検索数Webアクセス数獲得リード数商談獲得数リードからの商談獲得率受注件数電話問い合わせ数指名検索とは商品やサービス名をユーザーが入力する検索のことです。広告配信期間に上記の数値がどの程度増えるかを測定します。上記のなかのどの数値で測定するのか、測定の方法と目標値を決めます。目標に達成したら再度広告出稿するのか、達成しなかったらいつ停止するのかなどのシナリオについても、事前に決めておく必要があります。マーケティング戦略のなかでの位置づけタクシー動画広告によってどの程度の集客アップ効果があるかの測定は重要ですが、その成果はタクシー動画広告だけによるものではありません。同じ動画コンテンツをYouTubeやSNSにも配信することで、リードは複数回同じ情報を見る可能性が高くなり、認知度が高まります。また、動画コンテンツから誘導するランディングページのわかりやすさやアクションのしやすさ、自然検索したときに自社のページに誘導できるSEO対策も不可欠です。年間の時系列や同時期に行う施策など、マーケティング戦略全体のなかでタクシー動画広告を効果的に位置づけることが、最終的な集客と売上アップのために重要です。まとめ本稿のポイントは以下の4点です。タクシー広告のなかで、デジタルサイネージから配信する動画広告が注目されています。タクシーの乗客には経営者や管理職など企業の決裁権者が多く、BtoBビジネスの集客に効果が認められています。富裕層の乗車も多いので、BtoCビジネスでも広告需要があります。タクシーの平均乗車時間は18分と短いですが広告を配信するには十分な時間の長さで、デジタルサイネージから流れる動画を見る可能性が高いです。タクシー動画広告のデメリットは費用が高額ということです。それでも一定の効果が認められ、BtoB企業に人気です。
https://www.shanon.co.jp/blog/entry/taxi_ads/